わかりやすく伝える
みなさん、こんにちは。
元都立高校国語科教師、すい喬です。
今回は小論文のヒントをいくつかこっそりお教えします。
毎回、文章は論理的に書きなさいと忠告してきました。
しかし受験生の中には、勘違いしている人もいるようです。
論理的な言葉というのは、難しい哲学的な用語を意味しません。
もちろん、外来語でもありません。
あなたが持っている言葉の中から、選りすぐったものでかまわないのです。
小論文を書くというと、つい身構えてしまう人がいます。
どこかで覚えたばかりの言葉を羅列すれば、恰好がつくと思っているのです。
これは大きな間違いです。
誰でも身につけられる能力をみすみす逃してしまっています。
本当に勿体ないですね。
小論文は基本的に説明が十分できていればいいのです。
どのようにしたら解決するのか。
その方法を自分なりの言葉でまとめましょう。
いつもYesNoで書ける文章ばかりではありません。
むしろ課題文の内容をもっと深掘りし、自分の経験上、こうしたらいいのではないかという指針を示した方が、ずっと採点者にアピールできます。
いずれにしても「わかりやすく伝える」ということを最終の目標にしてください。
何かいいたいことはあるのはわかる。
しかしそれが何であるのか不明確だ。
こういうタイプの文章が圧倒的に多いのです。
はやくこのレベルから抜け出しましょう。
3つのテクニック
それでは具体的に3つのテクニックをお教えします。
これを守って相手に伝わる文章を書いてください。
制限字数が800字のケースで考えましょう。
少しも難しいことではありません。
自分だけで恰好をつけていてはダメですよ。
①誰に何を伝えたいのか、方向性をはっきりと示す。(問題提起)
これで自分がどこに向かっていくのか、何を解決したいのかという道すじがわかります。
そこまでの距離もだいたい示しておけばいいでしょう。
課題文のある時は、その中にちりばめられたキーワードが最大のヒントです。
その流れの上に乗って、自分の羅針盤をアピールするのです。
この小論文の中で、ここが解決のための糸口ですと言うことを示してください。
100~150字あれば十分です。
あまり長く書くと、最初から文章がダレてしまいます。
無駄なことは書かないこと。
字数は大切です。
そのために「である」調でできるだけ短文にしましょう。
余計な接続詞を使うとリズムが壊れます。
癖を覚えて下さい。
あなたの文章にはあなたがよく使う「癖」があるはずです。
それを意識して潰していくこと。
「が」などて文章を繋いだりするのは最悪です。
「思う」「考える」「感じる」なども極力使わないことです。
2つ目のポイント
②理由と具体的な経験で内容を深める。
これが大きな採点ポイントです。
自分が筋道をたて、このような方法論があるのではないかと書き込んだとします。
大切なのはその理由です。
なぜそう考えたのか。
その理由は何か。
ここに採点者は注目します。
評価の分かれ目と言ってもいいでしょう。
理由を述べた後で、その方法論を手にするために、どんな経験をしたのか。
あるいはどんな見聞があるのか。
ここに受験生の生きざまが映し出されます。
具体例の出てくる大切なポイントです。
設問によっては必ず具体例を示せと指示してあるものもあります。
あるいは全く何も指示していないケースもあるかもしれません。
それでも書いてください。
ただし長くなってはNGです。
いい気になってこの部分を長くすると、完全にアウトです。
だいたい自分の経験などですから、書きやすいのです。
それで段落も長くなりがちです。
大きな失敗をするのがここです。
理由は少し長めでもきちんとしていれば大丈夫です。
ただし具体例はどんなに長くても150字まで。
書きたい気持ちはわかります。
しかしそれをおさえてください。
ここが勝負ポイントです。
結論は相手に刺さる言葉で
最後は結論です。
③わかりやすい言葉で、誰もが納得する結論を
問題提起がうまくできていれば、読者には結論がみえるものです。
だからこそ、くどくなってはいけません。
サラリとこの考え方以外にはないと納得できるようにまとめることです。
ここはある程度断定的に言い切りましょう。
どうしても不安なものです。
ここまで言い切ってしまっていいものかどうか。
その気持ちは必ずついてまわります。
しかし小論文は結論が正しいかどうかということを採点する試験ではありません。
1つの文章の中で整合性がとれていれば、それで十分なのです。
極端な内容であっても、その文章を読む限りにおいては納得できるものであればかまいません。
もちろん、公序良俗に反し、常識を覆すようなものであっては困ります。
ここまでなら、許されるという範囲です、立論をしてください。
その場合はむしろ、独自性の立場から高い評価を得ることも可能です。
他の人と同じものより、独創性の高い内容の文章の方が、当然評価はあがります。
主語と述語をきちんと使い分け、読みやすい文章を書きましょう。
それだけで内容がきちんと相手に伝わります。
文の呼応ができていないと一読しても意味が通りません。
とにかく練習を積むことが大切です。
このブログには過去問をはじめ、いくつものヒントが詰まっています。
どうぞお読みください。
受験生のみなさんのお役に立てれば、とても嬉しいです。
今回も最後までお付き合いいただきありがとうございました。