要約を最初に
みなさん、こんにちは。
元都立高校国語科教師、すい喬です。
今回は小論文を書く時の裏ワザを伝授します。
訓練をつんでください。
必ず書けるようになります。
自分はこう思ったという作文ではダメです。
なぜその結論になったか、きちんと論理だててまとめることが大切なのです。
それほどに簡単ではありません。
しかしこのスキルは、将来社会に出ても必ず役に立ちます。
絶対、自分のものにしましょう。
さて課題文を読み終わりました。
次にすることは何か。
短く要約することです。
焦点がどこにあるのかをつきつめましょう。
ここで国語力が試されます。
詳しく書く必要はありません。
ポイントを掴んだという証拠を採点者にアピールするのです。
そこから全てが始まります。
具体例は不要です。
最も大切なのは抽象的な考えです。
キーワードに着目して、要約しましょう。
その際「筆者は~という」などと「筆者」という表現を乱発する受験生がいます。
これは断然NGです。
主語を「筆者は」にしないで書く方法を自分のものにしてください。
文章がスッキリして読みやすくなります。
課題文に反論を
さて最初にすることは何でしょうか。
どんなことがあっても課題文にはNoをつきつけてみることが大切です。
そんなことはとてもできないという人も多いでしょう。
気持ちはよくわかります。
有名な評論家が書いた文です。
かんたんに否定することは難しいのです。
しかしそれでも試みてください。
どうしてNoの視点を探さなくてはいけないのでしょうか。
理由は単純です。
Yesではただ筆者の論点を後から追いかけているに過ぎないからです。
これは絶対に避けること。
読んでいて少しも新鮮ではありません。
小論文は論を深めていくことが最も大切です。
そのためにはどんなことがあっても反論を試みてください。
筆者がわざと書かなかったことを追及するという姿勢も考えられます。
しかし基本的には、正攻法で反論してください。
そのために、いくつもの角度を考えなければなりません。
それが実力を示すための一部になるのです。
筆者と全く違う角度から考えるのも1つの方法です。
これが最もふさわしいと論じていても、本当なのかと疑ってください。
自分の経験を参考に
自分の経験に照らし合わせて、なんとなく違うといった素朴な疑問から書き始めてもかまいません。
筆者はこう言っているが、しかし別の視点からみるのです。
必ずしも同じ意見ばかりではないはずだ、という論理を作りださなければいけません。
最近でいえばSDGsが時代の最先端の思潮として多くの人々に受け入れられました。
17のターゲットについて、様々な議論があります。
しかしその全てに全員が賛成したのでしょうか。
そんなことはありません。
非常に冷たい目で、SDGsを批判した文章もあります。
昨年からに多くの人に読まれている『人新世の資本論』などはその最右翼ではないでしょうか。
いくらトートバッグをつくっても、それをいくつも持ってデザインを斬新にすることにどのような意味があるのか。
森林をたくさん切ってしまい、地球温暖化をこれ以上進めてはならないという論点ばかりが先行したことに対しての反論がこの本には縦横に示されています。
特に北半球と南半球に分け、南北問題を1つの方向に示した点が新鮮でした。
今までは、そういう論点で書かれた文章は多くなかったのです。
つまり、切り口を少しかえただけで、反論の余地が出てきました。
反論が全くないなどということはないということが証明されたのです。
SDGsも丹念に読み込んでいけば、反論も可能なのです。
なぜそこまでNoにこだわるのかといえば、反論の方が力を感じるからです。
新しい視線を作り出す国語力も感じさせますからね。
とにかくどんな些細な論点でもかまいません。
たいていの課題文には、そうした穴が用意されています。
そこに敏感に反応して、表現を重ねていくのが、小論文で最も成功する秘訣なのです。
どうしても反論できない時は
それでもダメな時はどうすればいいのか。
どうしても違う視点がみえてこない時は、仕方がありません。
説得力が出そうもなかったら、何かのアイディアを示してから、伝家の宝刀を使ってください。
「確かに~だ。しかし~なのである」の応用です。
これはまず最初に筆者の論点に着目し、それを検討した態度を示します。
そして賛成するという姿勢をみせるのです。
つまり著者に対して、一定の理解を示し、尊重するという基本的な形です。
しかしよく考えると、この点でやはり賛成しかねるところもあるという、高度な文章の構成法です。
最悪の場合はこれを使いましょう。
「確かにこのような考えも可能である。しかし私はこの点で筆者の論点は不十分である」」といって別の論点を提出するのです。
反論でなくてもかまいません。
この部分が足りないのではないかという補足でもいいのです。
ただ筆者のあとをついているだけではないというアピールを全身でする必要があります。
課題文の論点をなぞるだけでは絶対にダメです。
少しでも違う角度から、新しい見え方があるというまとめ方をしましょう。
筆者と同じ道を歩くのだけは、絶対に避けなければなりません。
断っておきますが、けっしてこれは簡単ではありません。
筆者が簡単に「~すべきである」と断定していたとしましょう。
しかしそんなに簡単に言い切ってしまえれば、楽です。
その通りですと書いたのでは、全く新鮮ではありませんね。
そういう考え方もあるが、実は筆者の見逃している視点はこれなのだ、と指摘して強調するのです。
これだけで、採点者は高い評価をします。
自分で考えているという姿勢をどうアピールするのかがポイントなのです。。
この練習は何回もやらないとできません。
回数を重ねていくうちに、ここでNoをいえば十分だというところが見えるようになったら、かなり上達しています。
とにかくやってみてください。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。