「NotebookLM」数分で要約をし会話にまとめる能力に恐怖を抱く

学び

NotebookLMの威力

みなさん、こんにちは。

元都立高校国語科教師、すい喬です。

AIの進歩は想像を絶する速さで進んでいます。

少しぼんやりしていると、あっという間に追い越されてしまいます。

今回は本当に度肝を抜かれるような気分になった話をします。

GoogleがAIを利用したリサーチや執筆する際のアシスタントとして開発した、NotebookLMをご存知でしょうか。

使ってみて本当に驚きました。

生成AIのエンジン、Geminiも次々と新しいバージョンが登場しています。

驚いたのは従来のようにテキストベースだったファイルの他に、PDF、WebURLなども利用できることでした。

YoutubeなどのURLを入れると、そのまま内容の要約が可能です。

スライドやドキュメント内の画像、グラフ、図も読み込めます。

これは怖ろしいことです。

試しに一昨日アップしたばかりの『蜻蛉日記』の記事を読ませてみました。

その結果、要約がすぐでてきたのには驚きましたね。

想像以上の速さです。

ここにそのまま記載してみます。

こういうふうに目の前で要約を作ってくれるというのには感心をするというより、ある種の怖さを感じました。

要約全文

この記事は、平安時代中期に成立した女性の日記文学である『蜻蛉日記』とその作者、藤原道綱の母について紹介しています。

日記は、受領階級の女性である作者が、藤原氏本流の夫との21年間の結婚生活で経験した戸惑いや苦悩を生々しく描写しています。

特に、夫の昇進に対する複雑な感情や、来訪が減ることへの不満、そして当時の女性の地位について言及しており、作者の自意識の高さとプライドの高さがうかがえます。

また、日記の文章に用いられている掛詞という技法やその例についても詳しく解説されており、和歌における重要な表現方法として説明されています。

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出来上がりはどうでしょうか。

文章の末尾に癖はありますが、一定の水準に達しています

実にコンパクトにまとまっているというのが、最初の感想でした。

さらに驚いたのはこの内容を男女2人の会話にしてまとめたものが、同時にできあがったことです。

ここにその音声を同時にのせておきます。

固有名詞などの読み取りに関してはかなり怪しいところもありますが、記事全体の流れはごく自然にまとまっています。

会話もごく自然で、生成AIもここまできたのかというのが第一印象でした。

銀の匙の場合

ここまでできるのならば、もう少し複雑なこともやってみたいと思い、中勘助の小説『銀の匙』を全て読み込ませました。

原文は青空文庫からコピペしたものです。

URLがわかっていれば、そのまま貼り付けることも可能です。

内容がどのようであったのかを確認するために、あらすじをチェックしました。

原文のまま掲載します。

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この文章は、中勘助による自伝的な散文作品「銀の匙」からの抜粋です。

幼少期の「私」の目を通して、主に病弱な「私」と献身的な伯母との生活、そして当時の東京の情景が描かれています。

引越しによる環境の変化、学校生活の始まり、そして友人との出会いなど、子供が成長していく過程での様々な経験や感情が、五感を伴う豊かな描写で綴られています。

特に、「銀の匙」という思い出の品を巡るエピソードは、作品全体のテーマを象徴しています。

あらすじが終ると、次にどのような問いが可能かを示してくれます。

数多くの問い

作品に関して、次々と生成AIが問いを発してくれます。

ポイントを押さえたもので、見事というしかありません。

幾つかの例をあげてみます。

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本文と「銀の匙」というタイトルは、登場人物の人生にどのように結びついているのか?

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「銀の匙」は、主に語り手の幼少期と、彼を育てた伯母との深い結びつきを示す象徴として、その人生と密接に結びついています。

以下にその関連性を詳述します。

語り手の書斎の本箱の引き出しに、昔から大切にしまわれている小さな箱があります。

その箱の中に、語り手が「珍しい形の銀の小匙」と表現する匙が収められています。

この匙は「さしわたし五分ぐらゐの皿形の頭にわづかにそりをうつた短い柄」がついており、「分ぶあつにできてるために柄の端を指でもつてみるとちよいと重い」と感じられます。

語り手は時折、この匙を取り出して丁寧に曇りを拭い、飽きずに眺めるほど気に入っています。

この匙は、語り手が幼い頃、茶箪笥の引き出しを無理やり開けた際に、他の品々と一緒に見つけたものです。

語り手は生まれた時から極度の難産であり、生まれた後も「松かさのやうに」頭から顔中できものができるほど病弱でした。

このため、漢方の東桂先生の世話になり、毎日「まつ黒な煉薬と烏犀角」を飲まされていました。

この薬を幼い口に掬い入れる際に、普通の匙では具合が悪かったため、伯母がどこからかこの「銀の匙」を探し出してきて、常に薬を含ませてくれたのだといいます。

この話を聞いた語り手は、自分では知らないことながらも「なんとなく懐かしくてはなしともなくなつてしまつた」と感じました。

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作品全体を通して描かれる「銀の匙」と「伯母」は、語り手の成長と自己認識にどう関わっていますか?

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虚弱体質で消化不良であった語り手のために、伯母は食事を工夫し、想像力豊かな話術で食べさせました。

伯母は、亡くなった兄の生まれ変わりと信じ、語り手をこの世に生きてる唯一の楽しみとし、「無上に大事に」慈しみました。

この無条件の愛は、語り手の内気で人見知りする性格を受け入れ、安心感を与えたのです。

語り手が幼少期に「意気地なしの人みしり」で、見知らぬ人を見ると泣き出すような性格であったにもかかわらず、伯母は常に彼のそばにいて、外部との緩衝材となりました。

伯母の温かく包容的な育て方は、語り手が世間の常識や権威に対して独自の、しばしば批判的な視点を持つことを可能にしました。

このように、「銀の匙」は語り手の始まりにおける絶対的な依存状態を象徴し、それ以降の成長において、伯母は文字通り命を繋ぎ、精神的な安定と知的・感情的な発達を促し、最終的には語り手が独自の価値観と自己認識を確立するための揺るぎない土台を提供しました。

伯母の存在なくして、語り手の個性的な成長と、その作品を通して描かれる内省的な視点は生まれなかったと言えるでしょう。

ここにあげた部分は、どの程度、深堀りができているかを知るいい材料になると思います。

現状ではまだ生成AIのエンジンが極めて優秀というワケではありません。

しかし完成への道のりにそれほどの時間はかからないものと思われます。

今までたどってきた生成AIの進捗度をみていると、そのことがよくわかります。

この速さを持つ読解力をどう見たらいいのか。

どんな長編でも、わずかな時間で要約を作り上げる能力は、残念ながら人間にはありません。

絶対に勝てないと思います。

今後、ますます生成AIが進化していくことは間違いがありません。

かなりの影響が出るのは明らかです。

人間は次に何をすればいいのか。

参考までに、こちらも音声化した会話をはじき出しました。

あわせて収録しておきます。

どうぞ聞いてみてください。

驚かされることばかりです。

今回も最後までお付き合いただき、ありがとうございました。

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