DX化の時代
みなさん、こんにちは。
元都立高校国語科教師でブロガーのすい喬です。
今回は最近、急速な勢いで普及しているセルフレジについて考えます。
ご存知ですね。
全ての商品を自分でバーコードにかざし、最後に清算するタイプのレジです。
DX化の究極は何かといえば、ITを最大限に活用し、新しい価値を生み出すことです。
極端なことをいえば、レジに寄らずに、ものを手に取った瞬間、かってに銀行やクレジットカードから決済されるサービスもそのひとつです。
支払いのためのアクションを何もしない、というところがミソですね。
商品を買い物かごに入れたまま、レジまでくると、頭上に無数に据え付けられたカメラから
情報がメインコンピュータにつながり、その人の銀行口座から自動的に引き落とされるのです。
お客はそのまま、自分のバッグに商品を入れて、店をあとにするというわけです。
DXという言葉をご存知でしょうか。
デジタルトランスフォーメーションの略です。
まさに今の時代を象徴した表現ともいえるでしょう。
今年の小論文テストにも、必ず登場します。
IT化とアフターコロナがこれに付随したキーワードでしょうか。
新しい価値を次々と生み出さないと、企業も生き残れなくなっています。
特にコストを削減するための技術は、日進月歩で進んでいます。
社会のニーズがどこにあるかを探り、それを情報につなげなくてはなりません。
そのための大きな価値がネットワークにはあるのです。
データを瞬時に分析し、提供可能な価値を考えるのです。
競争を勝ち抜くためには、可能な課題を乗り越える必要があるのです。
そのための方策がDXと呼ばれるものです。
ビジネスモデルそのものを大きく変革する方法だ、と考えてください。
セルフレジ
DX化は企業の文化や風土をどんどん内側から改革していきます。
それについていける人はいいですが、そうでない人もたくさんいます。
時代というのはどこまで変化し続けるものなのでしょうか。
少し息苦しさを感じますね。
いつも利用しているスーパーがあっという間に、このコンセプトを体現しセルフレジに変わりました。
今は商品のスキャンもすべて自分でしなければなりません。
どこにバーコードが印刷してあるのか、探すのに少し迷います。
お店のスタッフが以前は数人必ずいました。
わからないと、彼らが脇で教えてくれたのです。
ところがいつの間にか、その姿も消えつつあります。
その後の支払いや精算は全て自分で行うのです。
しかしやってみると、なかなか厄介です。
現金のほかにも、カードの種類が非常にたくさんあり、店舗独自のポイントやポイントカード専用のものが必要になるケースもあります。
さらにQRコード決済も加わって、いったい何種類の中から選べばいいのか、ぼんやりしていると途方にくれてしまうありさまです。
もっといえば、QR決済の方法も上からバーコードを読ませるタイプと、裏側から機械に読み取らせる方式のものもあり、実に複雑なのです。
店によって微妙に方式が違うのも厳しいです。
これではあまりに大変だというので、セミセルフレジというのもあります。
バーコードに読み込ませるところまでは、レジ係がやってくれるという方式です。
店員が現金に触れることもなく、衛生的だという声の方が大きいようですね。
ぼくの実感では、並ぶ時間が最も短いのはセミセルフ型です。
反対にいちばん時間がかかるのは、完全セルフで現金扱いのパターンです。
特に高齢者が、このタイプの読み取り機の前に立つと、しばらくは順番がまわってくるのを諦めたほうがいいように感じます。
セミセルフならば
最初のうちはあまりの変化にあきれていたものの、慣れないと買い物もできません。
フルセルフには戸惑う人たちもセミセルフなら大丈夫みたいです。
そのうち大半のスーパーがこれになるのでしょう。
なんでも店員の人にしてもらう時代はとうに去ったと思われます。
あらゆるコストの中で、人件費が一番高いのです。
導入にかなりのコストがかかっても、長い目でみれば大きなメリットがあるに違いありません。
小売店のDX化はセルフレジからというのが、1つの流れです。
普及が急速に進んだ背景には、コロナ禍がありました。
なるべく人との接触を減らす。
これが至上命題だったのです。
ユニクロなどは、バーコードの入力などをする必要もありませんね。
買い物籠の中に入れた瞬間に頭上のカメラがチェックをします。
元の棚に戻せば、支払い額が自動的に引かれます。
最終的に自分の決済パターンをレジに認識させれば、そこで終了です。
あまりに簡単なので、少し気持ちが悪いくらいです。
本当に正しいのかどうか、つい確認してしまいます。
レシートを見ると、買ったものの内容と数値が打ち込んであるのです。
これがDX化の見本でしょうか。
ちなみにアメリカにあるアマゾンのビルの1階にあるスーパーは、完全全自動のようです。
お客は何もしません。
ただレジに行って、そのままバッグにしまい、店を出るだけです。
外に出て数歩歩くうちに決済が済み、銀行口座から料金が引きおとされているのです。
しかし好事魔多しという言葉もあります。
この装置の普及が、近年、客数を減らしているという報告があちこちから飛び込んできました。
温かみがない
2023年末のことです。
イギリスのスーパーマーケットチェーンBoothsが、運営する28店舗のうち26店舗に有人レジを設置し、セルフレジをやめたという報道があったのです。
お客の意見は次のようなものでした。
①セルフレジは遅い
②信頼性に問題がある(バーコードを通さない客もいる)
③温かみがない
他にも、北米のチェーンストアDollar Generalは2024年3月にセルフレジの縮小を発表しました。
約1万8000店舗のうちほとんどの店舗でセルフレジを廃止したのです。
実際に1万2000店でセルフレジを撤去してしまいました。
現在、多くの店舗がそれぞれに数字をチェックしています。
日本のお店の話をひとつしましょう。
ある小売チェーンではレジの60%をセルフレジにしたところ、そうでない店と比べて、対前年比より5.3%下まわったという結果が出ているとか。
はっきりしているのは、客数が減っているという点です。
さらにいえば、お客は「同時に多くの点数の買い物をしたくない」と考えている可能性があるというのです。
スーパーへの来店客が減るということは、品揃えとの相性が悪くなるということも考えられます。
近年、大規模スーパーの撤退がよくニュースで取り上げられますね。
人件費を減らしたいと考えて、セルフレジを導入したことが、さらに悪循環を招いている要因になっている可能性もあるのです。
最近は、その反対に「スローレジ」と呼ばれるものも登場しています。
会計を焦らずゆっくりしたい来店者のためにつくられたものです。
とくに高齢者にとってはありがたい存在だと言われています。
スマホがなければ飛行機にも乗れません。
チケットの発券もままならない時代になりました。
デジタル化の流れから取り残された人々は確実に存在します。
そういう意味で、DX化というシステムの推進は両刃の剣なのです。
この問題はこれからの大きなトレンドになっていくに違いありません。
あなたもご自身で考えてみてください。
今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。