【小論文・書く力】短文にまとめ削りに削って自分の文章のリズムをつくる

小論文

書く力

みなさん、こんにちは。

元都立高校国語科教師、すい喬です。

今回はあらためて、小論文の書き方を考えてみましょう。

そんな記事、今までに何度も読んできたという人も多いでしょうね。

いまさら、言われなくてもわかっていると言いたい気持ちもよくわかります。

大切なポイントは1つです。

あなたはその類の参考書や記事を読んで、文章が上手になりましたか、ということなのです。

『小論文これだけ』といった種類のハウツー本は、たくさんありますね。

ぼくも必ず書店では目を通します。

確かに、たくさん役に立つことが書いてあります。

この通りにいったら、短時間でかなり上達するだろうなと思います。

しかし、生徒が持ってくる答案を読むと、がっかりすることが多いのです。

なんにも伝わっていない。

肝心な注意点が守られていない。

結局、内容がはっきりとみえていないのです。

なぜか、わかりますか。

ぼくは教師になる前、ある雑誌社で記者をしていました。

毎日、取材をし、帰ってきてそれを原稿にします。

最初は人物紹介欄を担当させられました。

インタビューをしてそれを記事にまとめるのです。

それくらいは誰でもできるだろうなどと、甘く見ていました。

しかし実際に記事として印刷されるまでは、長い道のりでした。

削る力

原稿をデスクに渡すと、彼がしたことはどんどん斜線をひいて文章を短くすることでした。

贅肉を落とす作業です。

無駄な表現が次々と消されていきました。

自分ではどこがいいところなのか、よく見えないものです。

第三者の目で、冷静に読み取ると、それがわかります。

どうやって削っていくのか。

最初は無駄な言葉からです。

同じ表現が重なるところは全てバツです。

これが初心者ほど多いのです。

語彙が少ないことも1つの理由です。

自分で気がついていないので、全く指摘されるまでわかりません。

添削の基本は、同じ言葉を使わないというごく初歩的なことから始まるのです。

小論文などでは、よく使う言葉というのがありますね。

「言葉」「理解」「主体性」「多様性」「アイデンティティ」などといった表現は便利なのです。

それだけに続けて使わないことを、念頭に置く必要があります。

重なる主語は誤読されない限り省略します。

最初に固有名詞を書いたら、次は代名詞にその役割を譲ります。

しかしあまりにそれが続くとうるさいので、さらに別の表現を考えます。

接続詞も無駄なものは、極力省かなくてはいけません。

いい調子で書き込んだ代名詞は、ほぼカットされました。

読んでいると、前後の文脈がどうしてもうまく続かないケースもあります。

そういう時は無駄な段落のカットです。

小論文の場合は地の文章がメインなので、会話はほぼ省略されますね。

初心者の書いたものには、意味のない会話が多いです。

全てとってしまうと、かなりスッキリして骨格がみえてきます。

単文と短文

編集者の格言ご紹介しましょう。

「短い文章ほど怖い」というものです。

よくカルチャーセンターなどに「エッセイを書く」という講座がありますね。

自分の身の回りに起こった出来事を、文章にまとめるという作業です。

最初は作文を書くような気分で始めてはみたものの、その難しさに次第に怖くなっていくのです。

そうならない人は上達しません。

これはあらゆる芸事に繋がります。

終わりがなく、自分との戦いが始まるということを実感した時から、勉強が始まるのです。

修行といった方がいいかもしれませんね。

なぜ短い文章は難しいのでしょうか。

westerper / Pixabay

圧倒的な構成力を身につけなければならないからです。

エッセイなどの場合は、自分の視点が試されます。

どこからその出来事を眺めているのか。

難しくいえば、正確な鳥瞰図があるかどうかです。

それが整っていれば、次第に文は短くなります。

特に日本語は1つの言葉に多くの意味を持たせることができる、すぐれた言語です。

掛詞などを知れば、おのずと文章が洗練されます。

これは「短文」の場合です。

もう1つ大切なのが「単文」です。

主語と述語がワンセットの文章です。

難しくいえば、「一文一義」ということです。

接続詞

文章を短くさせるためには、1つの文に主語を2つ入れないことです。

必ず主語は1つだけ。

当然、述語も1つだけです。

その繰り返しを続けます。

それだけでは息苦しくなるので、初心者はつい接続詞を使いたくなります。

これが失敗の原因です。

「そして」「それから」「だから」「したがって」などは最悪ですね。

なくても意味が通じます。

接続詞のない文章は、明るくて見晴らしがいいのです。

これだけで随分と文が短くなります。

生徒には1文が80字を越えてはならないと指導しています。

原稿用紙でいうと、2行です。

それ以上書かせると、必ず文脈がねじれてきます。

いわゆる複文構造になるのです。

初心者には無理です。

言いたいことがたくさんあると、つい繋げたくなるものですね。

それが失敗のもとです。

リズムはたくさん書かないと体得できません。

畳の上でいくら水泳の練習をしても、うまくならないのと同じです。

制限時間との戦いです。

やってみてください。

実際に書こうとすると、本当にわからなくなってしまうものなのです。

それが小論文の怖さです。

しかし書けるようになると、一生のスキルになります。

ここまでが初心者用の説明です。

こんなことはわかっている。

自分にはできるという人は、早速やってみてください。

それほど甘くはありません。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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