いつから勉強すれば
みなさん、こんにちは。
元都立高校国語科教師、すい喬です。
今回は小論文の勉強をいつ開始したらいいのかという疑問に、お答えします。
実際、悩ましいテーマですよね。
独学でマスターできるのかどうかも気になります。
参考書や問題集を読んだだけで、可能なのか。
入試を突破するだけの実力が本当に身につくのか。
五里霧中という言葉がありますが、まさにあれと同じです。
どうやったらいいのか、いつから始めたらいいのか、さっぱり見当がつきません。
文章の型を覚えるだけなら、2~3か月程度学べば、それなりの形にはなります。
ぼく自身、現在も生徒の答案を見ています。
特に9月以降は、その頻度があがりますね。
勘のいい生徒の場合、基本的な文体の形を示すと、その次からかなり読みやすい文章にして持ってきます。
そういう意味では、早ければはやいほど、完成に近づきやすいとはいえます。
しかし文章力は個人によってかなりバラツキがあります。
文章を書き慣れていない人にとっては、かなりの苦痛です。
主語、述語、助詞などの使い方が、あまりよくわかっていないのです。
こういう生徒の場合は、きちんとした日本語として、相手に伝わるレベルにまでもっていくのに、時間がかかります。
国語力といっても、人によって全く違いがあるということだけは、確かです。
最初は11月頃にある指定校推薦を狙っていたのが、急に9月の総合型(AO)入試に切り替えるということもあるかもしれません。
志望校が途中で変わる可能性も考慮しておかなくてはいけないでしょう。
そういう意味できる限り早めに対策を考え始めることには、大きな意味があるのです。
学校の授業にはない
作文の授業は、ほとんどの生徒が小学校の頃から受けています。
しかし小論文の授業というのは、基本的にありません。
「国語表現」という名の授業はありますが、厳密にいえば、これは小論文を教えるための授業ではないのです。
あらゆる言語表現を扱うのが原則です。
極端な場合、手紙の書き方までやります。
論理性を重視した小論文をメインに教える授業というのは、大変な労力を必要とします。
教員の力量も同時に問われるのです。
小論文の授業は、通常選択科目です。
15~20人がマックスというところでしょうか。
全員の文章を添削するのは、大変な作業です。
それでも繰り返しているうちに、質の高い内容の論文が書けるようになります。
過去の入試問題を主な題材として扱いました。
基本的なテーマについての知識がなければ、書けないものが大半です。
その時の思いつきだけでは、どうにもなりません。
それだけに国語力がかなり必要なことは言うまでもないのです。
しかし現実的には対策が遅れがちなのです。
夏休み以降でいいと思っていると、すぐ9月になってしまいます。
早い大学では9月から総合型の入試を行います。
当然、小論文も書かなければなりません。
時間がなくなりつつあるという焦りが、最も危険です。
しかし現実には、それほど多くの時間があるワケではないのです。
教科学習とのバランス
小論文の勉強が遅れる理由はいくつかあります。
その第1は、教科の学習の方にどうしても比重がかかってしまうからです。
当然のことですね。
私立文系の入試の場合を考えてみましょう。
基本は3科目です。
英語といっても、その中身は単語と語彙の暗記、文法、解釈とあります。
基本をきちんと身につけるだけでも、かなりの労力を使いますね。
単語をある程度身につけなければ、英文解釈はできません。
はっきりいえば、小論文は最後に取り残されがちな入試科目なのです。
それでは現実にどうしたらいいのか。
あなたが3年生の場合と2年の場合とでは、全く戦い方が違います。
難関大学を狙うのであれば、最低半年は必要です。
11月頃に指定校推薦入試があるとしたら、校内の推薦をとることを目指して教科の評定をとにかくあげることに集中したはずです。
3年の成績は1学期のものが計算されます。
つまり1年と2年の3学期と3年の1学期の成績の合計を科目数で割った数字が、入試を戦うためのアイテムです。
評定平均値が高い人ほど、大学を自由に選べるのです。
もちろん、あなたが在籍している高校にどの大学から推薦依頼が来るかによります。
あとは推薦依頼校の一覧表が発表されるのを待つだけです。
総合型の試験を受験する場合は、もっと時間がありません。
2学期が始まったら、すぐに入試が始まるケースもあります。
今から、ただちに小論文の勉強を開始してください。
小論文の能力が一定のレベルに達していると自分で判断できる人は、外部の小論文模擬試験を受験するのもいいですね。
過去問をやって、先生にみてもらうことです。
実力のある信頼できる先生に頼まないと、時間のムダということもあります。
かなり指導を積み重ねている人でないと、良否の判断ができません。
自分で自分の文章の良し悪しをみるということぐらい、難しいことはありません。
絶対にNGです。
大所高所にたって正確に分析できる先生に頼むことです。
これが合格への最短距離です。
小論文が初めての人は
3年生でも、全く小論文を書いたことがない人はたくさんいます。
まして高校2年生以下の人の場合は、ほとんどいないのではないでしょうか。
日本人は論理的に文章を組み立てていくのが、あまり得意ではありません。
問題提起から結論まで1直線に書ききれる人は、そう多くないのです。
それではどうしたらいいのか。
ただちに小論文にとりかかるより、論理的な文章がメインの現代文の問題集を勉強してください。
教科書でいうと、「論理国語」の内容に準拠したような問題集がいいです。
現在の世界が抱えるあらゆるテーマが、非常にバランスよく配置されています。
その中から、少しづつ解いていきましょう。
特にキーワードを重点項目として、文章のポイントを掴むことが大切です。
現代文の入試の勉強をしているのと同じです。
問題集を解くことは、小論文の学習にもリンクしています。
いずれにしても、独学で進むのは、かなり難しいです。
どのような形であれ、書いたものを先生にみてもらうことです。
添削していただくという作業を続けてください。
目安は半年です。
それでもうまくならないようならば、諦めるという最後の手段に到達せざるをえません。
しかし小論文の試験は、練習すれば、必ず上達します。
自分を信じて頑張ってください。
始めるならば、ただちに今からです。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。