作文とどう違うの
みなさん、こんにちは。
小論文添削歴20年の元高校国語科教師、すい喬です。
調子はいかがですか。
小論文は難しいですね。
なんといっても発展途上の科目なんです。
まだきちんとメソッドが確立しているワケではありません。
先生方も戸惑いながら授業をしているのです。
それでは困るなんて言わないでください。
毎時間、先生は本当に悩んでいるのです。
どうしたら生徒がうまく小論文を書けるようになるのか。
日々、悪戦苦闘しています。
そもそも小論文をどう書くのかなどという授業を成立させるのが大変なんです。
高校の先生と塾の先生と言うことが違ったりしてませんか。
論理性さえ一本芯が通っていればいいという先生もいます。
かと思えば、それじゃダメ、その人らしさが必要だという先生もいます。
もっといえば、どこまでが作文で、どこからが小論文なのかの線引きも難しいのです。
原稿用紙の使い方や、句読点の付け方を教えてお茶を濁す先生さえ出現する始末。
どうにもなりませんね。
自分の体験をうまく入れて文章をまとめろといわれても、普通の高校生がそれほどに突飛なことをしているワケもありません。
日常生活なんて、誰でもごくありふれたものです。
そこから課題文のタイトルにふさわしいような経験を入れて文を書くなんて、とんでもないことなのです。
小論文は素直に書いてもあまり評価されません。
自分の思った通りに書きなさいと昔、先生に言われたことはありませんか。
あれは作文までのプロセスです。
思ったことや感じたことをそのまま書いて通用するような小論文の時代はもう夢です。
もっと意識的に文を組み立てるという作業を必要とするのです。
小論文はどうしたら書けるの
いきなり本丸を攻めましょう。
難問ですね。
誰もが悩んでいます。
本当にどうしたらいいのか。
基本の型を覚えるしかないでしょうね。
その中に論理を組み込んでいけば、一定の評価を得られる文章が書けるようになります。
それ以外に方法はないと思ってください。
自分の意見を必ず書くことです。
これが1番の基本です。
今の時代にそんなにすぐ解決するような問題があるとはとても思えません。
出題者はそんなことは重々承知です。
それでも出すのはなぜか。
受験生の頭の柔らかさをみたいからでしょう。
どうやって論理を生み、育てたか。
それを知りたいのです。
小論文には必ず、なにか厄介な問題が登場します。
ここでも何度かとりあげました。
教育格差、ジェンダー、環境、エネルギー、情報化社会、人工知能。
何が出ても面倒臭い話ばかりです。
その問題に対して、どういうアプローチをし、どう解決したいのか。
それを書くのです。
筆者の論に賛成でも反対でもかまいません。
ちゃんと筋道がたっていれば、それでいいワケです。
成り注はダメですよ。
なんのことかって。
成り行きが注目されるというタイプの、他人に下駄をあずけたような結論は絶体にNGです。
これをやっちゃダメ
今回はこれをやっちゃダメというのを集めたくなりました。
今まで随分と書いてきましたが、皆さんなかなか上達してくれません。
ちょっとくらいこのサイトの記事を読んで書けるのなら、なんの苦労もしませんけどね。
しかし添削していると、悲しくなる時があります。
まだこんなの書いてるのというレベルの小論文がたくさんあるのです。
ちょっと「べからず」だけを集めてみました。
あくまでもこれはぼくが今まで添削してきて出会ったものばかりです。
最初はこれ。
1 思う、考える、感じるは書いてはダメ。
理由 思っているから書いてるワケです。
1番いけないのは、「私は」ではじめていろいろな考えを書いた後に「~と思う」という終わり方をする文です。
どれが主語なのか、まったくわからなくなります。
2 ワンセンテンスが長い文はダメ。
これも読んでいるとつらいです。
初心者は80字が限界ですね。
原稿用紙2行を基本にしてください。
下手な人ほど、文が長いのです。
それ以上書くと、もう文脈がゴチャゴチャです。
3 比喩はダメ
「~のようだ」というのは小説ではいいかもしれません。
しかし論文では無駄です。
イメージ中心の情緒的な文章は小論文と最も相性が悪いです。
飾る必要はなし
4 ヘンな副詞を入れた文はダメ。
「~が大変きれい」といわれてもなにも感じません。
「大変」とか「すごく」などという言葉は論文に向きません。
余計な飾り文句はつけないこと。
5 「である調」で書いてない文章はダメ。
「ですます調」が許されるのは志望動機ぐらいなものです。
文体はつねに断定を原則にすること。
「~だろう」「~ではあるまいか」というのは逃げだと心得ておいてください。
使っていいのは本当にどうにもならない時だけです。
つねに短く言い切っていく。
賛成であれ、反対であれ、その理由、根拠をきちんと説明してください。
賛成の場合は筆者の論点にべったりくっつかないことです。
かならず違う角度から解釈、説明することが大切です。
6 要約に具体例を入れた文はダメ。
要旨を最初に簡単にまとめてから本文に入る方が楽です。
やってみればわかります。
文章の運びも自然になります。
ただし具体例を入れちゃダメですよ。
例の入った文は要約になりません。
7 アイマイな接続詞を使った文。
ワンセンテンス、ワンメッセージを実行し、間に適切な接続詞を挟めば、立派な論文ができます。
いいかげんな接続詞を入れると文意が通りません。
特に順接、逆接は明確に。
結論は「つまり」「すなわち」「結局」でまとめればわかりやすくなります。
なにがアイマイな接続詞なのか。
いろいろあります。
代表は「そして」。
これはどっちにも転ぶ厄介な接続詞です。
使わないことが1番です。
「なので」ではなく「したがって」です。
「なので」と書いたらもう不合格だと覚えておいてください。
最近はあちこちで見かけます。
これを連発する人に文章のうまい人はいません。
ぼくの頭痛の種です。
いろいろと書いていたら、字数が随分と多くなってしまいました。
また書きます。
まだ言いたいことがたくさんありますのでね。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。