長文はNG
皆さん、こんにちは。
お元気ですか。
小論文添削指導歴20年の元都立高校国語教師、すい喬です。
勉強ははかどっていますか。
まだ時間があるは、もう時間がないのとおんなじ。
さっきまで潮がひいていた浅瀬にも、すぐ波が押し寄せてきます。
時のたつのははやいですよ。
のんびりしてちゃいけません。
手っ取り早く今日も小論文のポイントを勉強しましょう。
基本は1つの文に1つのメッセージです。
初心者ほど長い文章を書く傾向があります。
不安なんでしょうかね。
あれも書いてなかった、これも書いてなかったというわけで、センテンスがどんどん伸びていきます。
こういうのが最も読みにくいタイプの文です。
とにかく短文で。
主部があって述部がある。
これだけの文を接続詞でつなげてください。
それで十分な文章になります。
完璧です。
ところがゴテゴテと飾りたてて文を長くしてしまう人がいます。
自分の文章が見えていないのです。
前の文と後の文の関係が順接か逆接かも考えずに文を繋げてしまう人もいます。
採点者の視点
小論文を採点する人はどこを見ているのでしょう。
ズバリ、文と文との繋がりです。
それが正確に書けている人のは、安心して読めます。
ここまでは順接で文が綴られ、そこから理由の説明があり、さらに原因と結果が述べられている。
といった具合に理解しながら、文章を読みます。
そのための道具は接続詞です。
文の繋がり方が正確かどうかをみるのです。
並列表現の接続詞に「また」というのがあります。
これを3つも続けられると、どんな関係だったのか、読み取れなくなることもあります。
そういう時は最初に3点あると書き、1つ目は~、2つ目は~、3つ目は~であるとまとめればいいのです。
とくにいくつもの項目が箇条書きのようにある時は、この方法を使ってください。
それだけで採点者はすぐに理解できます。
文章の基本は論理の整合性です。
短文を繋げていくためのジョイントが接続詞です。
だからそれが正確に使われないと、論点がどちらへ向いているのか、わからなくなるのです。
今回の会議は内容が的確で、しかも説明も充実していた。
今回の会議は内容が的確で、しかし説明も充実していた。
今回の会議は内容が的確で、もちろん説明も充実していた。
今回の会議は内容が的確で、それゆえ説明も充実していた。
どうでしょうか。
短文を接続詞で繋げただけの文章です。
明らかに誤りのものもあれば、内容を捉えにくいものもあります。
接続詞1つ違うだけで、文章はまるで性格の異なったものになるのです。
だからこそ、正確さが要求されます。
接続詞に違和感があると、読者の思考がそこでストップしてしまいます。
特に論理的な矛盾があると、読み間違えたのではないかと不安になるのです。
絶対に読み手を混乱させてはいけません。
文章が長くなりそうになったら、まず文章を短くする努力を。
思い切り、文章を切ってしまってください。
そして次の文に続けるのです。
その時の架け橋が、接続詞です。
それを間違えたら、目的地へたどりつかなくなります。
文章の論理性がなくなるということは、信頼性の欠如そのものです。
そこで命はなくなったと思ってください。
接続詞の種類
接続詞にはどんなものがあるのか。
これをじっくり考えたことはほとんどないのではないでしょうか。
なんとなくその時々に使ってきたというのが本当のところでしょう。
それでかまいません。
正確に使えているのなら、それでいいのです。
いちいち分類を覚える必要はありません。
しかし、順接と逆接の関係だけは正確にしておいてください。
その他、並列、原因、結果、補完などといった用法はとくに覚える必要はありません。
その都度、間違えそうになったら記憶を繰り返してください。
それで十分です。
簡単にあげておきます。
参考にしてください。
「だから」「それで」「ゆえに」「そこで」「すると」「したがって」「よって」
(逆説)
「が」「だが」「しかし」「けれど」「けれども」「だけど」「ところが」「とはいえ」「それでも」
(並列)
「そして」「それから」「また」「しかも」「その上」「さらに」「なお」「かつ」「および」
(補足)
「つまり」「すなわち」「なぜなら」「たとえば」「ただし」「ちなみに」「要するに」「いわば」
(対比)
「または」「あるいは」「それとも」「そのかわり」「むしろ」「ないしは」「いっぽう」「もしくは」
(転換)
「さて」「ところで」「では」「それでは」「次に」「ときに」
ここで注意点を1つ。
あまりにも接続詞を使いすぎると、くどいです。
とても読めたものではありません。
使用頻度については、馴れてください。
それしかありません。
流行語・略語・話し言葉はダメ
ここまできたら、最後は使ってはいけない言葉です。
一番気になるのは、小論文に会話を使うこと。
これはNGです。
よくあります。
母が「ねえ、最近電車の中で本を読んでる人が少ないわね。みんなスマホばかり見てて、活字を読まないのかしら」と私に言いました。
こういうタイプの文章をよく見かけます。
主題に入る前の導入部分で使うケースが多いようです。
これはダメ。
字数は稼げますけど、評価は下がります。
小論文は全て地の文で書きましょう。
つまり評論の文体です。
余計な会話を中に挟んでしまうと、全体の語調がおかしなものになります。
どこか気取った文体が必要です。
評論文の書き方を学んでください。
馴れない人は、1度自分で書き写してみてください。
同じ言葉を1つのセンテンスの中に幾つも入れるなどということがあってはいけません。
さらに、流行語、話し言葉、略語などを入れないこと。
ら抜き言葉ももちろんダメです。
「食べれる」「着れる」などはNG。
「なんだってあります」ではなく「なんでもあります」
「本じゃない」ではなく「本ではない」です。
こういう言い方は小説の中で会話文としては存在し得ます。
しかし小論文では使えません。
最近、よく聞く言葉に「違くて」などというのもあります。
生徒によってはこれが誤りだということも知らないのです。
まさか、「マジ」「ダサい」「ヤバい」「ウザい」「チョー」はないと思いますが、それが使ってはいけない表現だということを知らない段階で、もう終わりです。
勉強してください。
いい調子で書いていると。つい日常語が飛び出てきます。
要注意ですよ。
ここまで接続詞と日常語の問題にしぼって書いてきました。
とにかく毎日、文を書き続ける。
これが今やるべき課題です。
テーマはいくらでもあります。
まず800字。
時計を置いて時間を計ってください。
どれからでもいいです。
始めてください。
みなさんの合格をお祈りしています。
その日の喜びのために、今は忍従の時です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。