小論文は難しい
みなさん、こんにちは。
小論文添削歴20年の元都立高校国語科教師、すい喬です。
大学入試小論文は思っていたより難敵じゃありませんか。
現代文のような解答がなくて本当にイヤです。
勉強しにくい。
考えてみれば今の世の中で、これが答えだなんていうのはありません。
これだけ環境を破壊するといって騒いでいる科学技術にしたって、それを止めろという発言はそう
簡単には出てきません。
AIがやがてその飽和点に到達し、人間を超えるかもしれないと言われています。
しかしそれならAIの開発をやめてしまえとなるかといえば、そうはなりません。
あらゆるテーマが全くこれと同じパターンです。
いいと言う人もいれば、それは絶対にダメだという人もいる。
これほどに複雑な世の中で、正解を求めようということそのものが、もう無理なのかもしれませんね。

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それならば、もう人間は何も考えなくていいのか。
そこまで議論は進んでしまいます。
入試小論文というのは挑みがいのある難問ばかりがずらりと並んでいるショーウィンドウを眺めているようなもんです。
どんなテーマを出されても完全に降参です。
しかしそれでも書かなくてはなりません。
課題文にある文章を正しく理解し、設問の条件に明確に添って、自分の意見を堂々と述べなくてはいけないのです。
こんなに難しい試験は他にありません。
文のレトリックだけで生き延びようなどというテクニックは使えないです。
それほどに特別な経験を誰もが持っているわけではありません。
自分の土俵にひっぱりこんで、採点官を唸らせるなどという荒技は望めないのです。
としたらどうすればいいのか。
論理性が大切だとうことはとてもよくわかります。
しかしそんなに簡単に身につくものではありません。
読書をすれば知識が増え、教養が身につくということはわかっています。
しかしそれを受験勉強をしながら実践することは並々のことではありません。
本当にどうしたらいいのか。
悩みますね。
キーワード探し
課題文を読んだとしましょう。
筆者はそこで何がいいたいのかわかりましたか。
現代文の解読能力がないと、ここで挫折しますね。
実は小論文試験というのは現代文の読解問題でもあるのです。
主題の把握こそが命です。
筆者は何を言いたいのか。
あるいはここまで言ってしまいたいけれど、その手前で隠していることは何か。
それを一生懸命探すのです。
筆者の論点をはずしていくら名文を書いても、ダメですよ。
そこに食らいついて書き切った答案以外に価値はありません。
それが小論文の試験の意味なのです。
ダラダラと自分の体験を書いたものを誰が読んでくれるでしょうか。

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筆者が述べていない内容について、賛成しても反対しても、何の価値もありません。
逆にいえば、筆者の論点に食いついていけさえすれば、高い評価が得られるのです。
それではどこが大切なのか。
キーワード探しが大切です。
筆者が同意や確認を得ようとしているところはどこか。
その意見をどうしても認めてもらいたいのか。
否定してもかまわないと考えているポイントはあるか。
どこかにそうした箇所はありませんか。
探してください。
そこがまさにポイントです。
そこを押さえたら、まず第一関門突破です。
肯定、否定を問わず、ピンポイントでキーワードを探してください。
鉛筆でマークして、主題を外さないようにしましょう。
興味関心のフィールドへ
みつけたキーワードから次にすることはなんでしょうか。
自分にとって近いテーマなら書きやすいかもしれません。
しかし少し遠いものだったら、どうやって書き出したらいいのか見当もつかないということになります。
自分の知ってることなんてそんなにないと考えてください。
あれもこれも知っていて、たくさん引き出しがあって、どんな風にでも書ける受験生には先に合格してもらいましょう。
むしろどんぐりの背比べの中から、ほんのわずかでも頭を出した人が合格というのが、入試の実態なのです。
そんなにできる人が多くいるわけじゃありません。
どうしたら少しでも目立てるのか。
ここが大きな分かれ道です。
自分の学問や関心の分野はどこですか。
とりあえずテーマとの関連はありませんか。

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全く違うよ、どうにもならないよと言わずに、そこから少しでも近いテーマを引っ張りだせませんか。
私の小論文と呼べるのは、独創性とオリジナリティーに富んだもののことです。
となると、課題への取り組み方を正面から考えなくてはなりません。
あなたは大学で何を勉強したいのですか。
さまざまにあることでしょう。
自分が一番興味を持っていることにテーマを近づけるのです。
そんなの無理と言わないで、勉強したい分野の内容とくっつけるのです。
これは牽強付会ではありません。
あくまでも自分のオリジナルな視点をそこに導入したということになるのです。
国際化の問題を論じるにしても、いろんな角度からの切り方ができます。
もちろん、語学の違いという論点もあるでしょう。
あるいは労働問題、宗教問題、格差是正、高齢化問題、文化の多様化、均質化など…。
いくらでも裾野を広げようと思えばできるのです。
グローバル化の名の下に、たくさんの外国人が世界を移動しています。
豊かな経済力のある国からそうでない国へ。
賃金や労働の質の差も問われます。
日本は外国人に対して、非常に厳しい入国管理をしています。
その一方で全くそうした政策をとらない国もあります。
法律にからめても教育に関連づけても書けます。

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あるいは家族のあり方や救命救急医療の是非、国民皆保険の使命など、自分の視点の基軸さえきち
んとしていれば、論点を伸ばせないわけではないのです。
環境問題もAIの未来も同様に裾野を広げていけます。
そうした視点を持たずに、ただ筆者の意見を繰り返すような小論文を書いている限り、高い評価を
得ることはできないでしょう。
「私」のいる文章を書くこと
課題文を無視してはいけません。
きちんと筆者の論点の上にのりながら、さらに自分の論理を付け加えていく。
その作業の繰り返しです。
練習はまさにそこに重点を置かなければいけません。
極端なことをいえば、自分で書く文章の論理をさらに超えることも可能です。
筆者の論点について理解し、それを自分の論理でさらに超え、その上、もう一つ上の段階までテー
マを伸ばしていくことが出来れば、文句をつける余地はありません。
今まで長い間添削をしてきて、そこまですぐれた答案には滅多に出会えませんでした。
それくらい筆者の論点を超えるのは難しいのです。
課題文の選定にあたって、当然のことながら、どの程度の論理展開ができるのか、入試担当者達は考えます。
ここまでの論理は出てくるかもしれないとか、さすがにこの考えに辿り着くものはいないだろうとか。
問題をつくる先生方はそこまで先を読んでいます。
彼らを唸らせるのは、そう簡単なことではありません。
しかし1つだけ言えることは常識を疑えということです。

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みんながそう言うからそれが真実だというワケではありません。
自分なりの疑問を持ってみましょう。
それも自分の得意分野から光を当ててみること。
そうすると、そこに写った影には新鮮な発見があるかもしれません。
あまりにも当たり前のことを言われたのでは、ウンザリしてしまいます。
試験まであとわずか。
今できることをしましょう。
すぐれた本を読む
自分の周囲にたえず関心を向ける
現代文の入試評論問題を解く
この作業は小論文を書くために必須です。
できるものから少しでもいいのでやってください。
日常見るテレビコマーシャルにもヒントはあります。
週刊誌の見出しを見るだけでも違います。
キーワードを常に探して、それを文章につなげてください。
小さな実践ですが、これが意外に大きな結果を生みます。
少しずつ続けること。
書く力は見る力によって養われるのです。
頑張って日々を過ごしてください。
「私」のいる文章は輝きます。
最後までお読みいただきありがとうございました。