俳人

【此木戸や・去来抄】言葉ひとつに描写と風情のあはれを探る芭蕉門弟の姿

向井去来の俳諧本『去来抄』を読みます。俳聖と呼ばれた松尾芭蕉をあたたかなまなざしで見つめ、その様子を描き出しています。字の読み間違えをして低く評価した句が、実はすばらしいものであったという、心温まる文章です。

【尾崎放哉・海も暮れきる】俳人は孤独と戦った【咳をしても一人】

作家、吉村昭の『海も暮れきる』は自由律俳句の俳人、尾崎放哉の物語です。小豆島を訪れ、そこで死ぬまでの話です。荒れ果てた寺に住み着いた男がみた風景は、毎日穏やかな瀬戸内海の自然でした。そこで亡くなるまでの8カ月を過ごしたのです。

【松尾芭蕉・奥の細道】軽みの世界をあくまでも追求した信念の俳人

松尾芭蕉の『奥の細道』は声に出して読む古典です。これほどにリズムのいい紀行文はありません。2400キロの道のりを長い時間かけて歩きました。かつての歌枕を再訪する旅だったのです。深川の芭蕉庵をたったのは元禄2年の春でした。