中上健次

【枯木灘・中上健次】路地に命をかけた紀州新宮の作家【神話の系譜】

中上健次の小説には神話に繋がる広さと深さがあります。紀州はまさに神話の故郷なのです。多くの小説の中で『枯木灘』の世界は超絶しています。そこに描かれた血族の姿は、この国の民族が持つ神話への畏敬にも通じています。一読を勧めます。

【作家・中上健次】路地の魅力が昭和の力の源泉だった【風景の変化】

日本の風景はここ数10年で大きく変わりました。路地がなくなり、道路が舗装されました。かつて路地を舞台にして小説を書いたのは中上健次です。彼の紀州新宮を中心とした世界はそれが神の領域に入るものと仮託されました。崇高な世界の造詣だったのです。

【雨月物語・夢応の鯉魚】作者上田秋成の幻想世界に惹かれて夢見心地

上田秋成の『雨月物語』は日本を代表する幻想文学です。江戸時代の作品とはとても思えない近代性を持っています。9つの短編はどれも水準が高く、幻想世界に私たちを引きこみます。その中でも三島由紀夫が高く評価した「夢応の鯉魚」を読んでみましょう。