ひとつ

【此木戸や・去来抄】言葉ひとつに描写と風情のあはれを探る芭蕉門弟の姿

向井去来の俳諧本『去来抄』を読みます。俳聖と呼ばれた松尾芭蕉をあたたかなまなざしで見つめ、その様子を描き出しています。字の読み間違えをして低く評価した句が、実はすばらしいものであったという、心温まる文章です。

【正徹物語・一字の違ひ】歌人は己れの感性をひとつの文字に託すのです

『正徹物語』というのは歌論書です。学校ではめったに扱いません。それだけに新鮮ですね。一つの歌を分析し、そこに描かれた世界をイメージしながら鑑賞するのです。歌人たちが、わずかな言葉の中に、心血を注いだことがよくわかります。