本論へ繋ぐ懸け橋
みなさん、こんにちは。
小論文添削歴20年の元都立高校国語科教師、すい喬です。
前回の続きをさっそくやりましょう。
昔から文章を書く時の決まり文句に、起承転結というのがありますね。
聞いたことがありますか。
この型で書いていけば、ほぼ完成形に近づくというパターンのことです。
確かに一般的な文を書く場合はこれでOKです。
ただし小論文に「転」の部分はいりません。
不必要なのです。
「転」というのは遠足でいえぱ、途中の休憩にあたります。
ちょっと一休みして、話題を別のところへ移すのです。
そうすると、気分がリフレッシュして、また歩こうという意欲が湧いていきます。
しかし小論文の場合はそんな暢気なことを言ってる場合ではないのです。
なにしろ字数が少ないうえに、内容が複雑です。
悠長なことをいってお休みしている間に抜かれちゃいます。
とにかく捕まえたら離さない。
どこまでいっても食いついていなくてはダメです。
つまり「起承転結」ではなく「起承結」でいいのです。
最初に問題提議をしました。
それを受けて次の大切な本論へ導くためのパーツが第2部「承」なのです。
長く書いてはいけません。
せいぜい制限字数の30%。
短ければ20%でも十分です。
何を書くのか
とにかく冒頭の内容を次に続けることが最大の目的です。
ここで内容を全て書いてしまうと、本論が薄くなります。
基本的にはイエスかノーをここで明確にしましょう。
あるいは全部イエスと言いたくても、それではアピール度が低いということになれば、次のような手があります。
筆者の論点はよくわかる。 しかし全てがこの通りになるとは限らない。 私は次のような事実を新聞で読んだ。 こうした場合、課題文の内容のようには決してならないのではないか。 1つの視点として、次のようなことが考えられる。
どうでしょうか。
ここでは新聞で読んだという1つの疑似的な経験を取り上げました。
内容を簡単に書いてくださいね。
もちちん、自分が実際に体験したことでもかまいません。
あるいはどこかで誰かが話していたこと。
テレビやネットにも次のような内容の意見があった。
さらにかつて読んだ本の中に参考になる記述があった。
著者の名前とタイトルがわかっていれば、それを明確に書くことで、内容が鮮明になります。
何がこの部分で大切かといえば、視野の広さです。
いつも教室の中で勉強している以外に、こういう側面があるということをアピールするのです。
採点者はこのような記述にすぐ反応します。
考えてもみてください。
何枚も似たような小論文を読むのです。
内容にこれといった違いがありません。
その中でピカッと光るのはどういう文章だと思いますか。
少しでも別の視点から切り込もうとしているもの。
新鮮な内容で、ユニークな体験を論点の元にしているもの。
今までに読んだことのない新しい考え方のもの。
いずれにしても他の人とは違うということが大きなアピールポイントになるのです。
長文はNG
文章を書く時の基本は短文を重ねることです。
まだ始めたばかりの人は、どうしても長い文を書きがちです。
なぜか。
頭の中が整理されていないからです。
思いついたことを次々と文にしていくのはかまいません。
問題はそれをどこで切るのかがわからないことです。
だからどんどん文をつなげてしまいます。
そのうちに、どれが主語だったのかわからなくなるのです。
そうすると、主部に対してそれを受けるための述部がどこにあるのか見えなくなります。
添削をしていると、このパターンの文章が多いですね。
指導の最初にいつも言っていることは、絶対に1つの文を2行以上は書くなということです。
2行とは40字です。
上手な人なら、全体の構成が見えていますからいくら長くてもかまいません。
しかし初心者のうちはダメです。
すぐに述部がみえなくなります。
展開のよじれた妙な文を読まされると、実に気分が悪い。
そんなものを書くくらいなら、いっそのこと短く切ってください。
ぼくの書いている文章は短いです。
主語があって述語がある。
それだけの文を接続詞でつないでいるだけです。
時々文章が長くなる時がないわけではありません。
そういう時は意識して分けます。
2つで不十分なら3つに分けます。
そうすると、文章が生き返るのです。
わかりやすくを目標に
文章は誰が読んでもすぐに理解できるものでなくてはいけません。
難しいことを易しく、深いことを広く伝えるのが文の使命です。
そのためのスキルを学んでください。
第2部で書くべきことが理解できたでしょうか。
あくまでも軽く最初の段を受けるのが役割です。
そしてそれを本論に続ける。
ある意味で全体をしきるのが役割です。
それぞれの場面の内容と構成が正確に見えていないと、全てがバラバラになってしまいます。
ポイントを書き過ぎないでください。
ここにみんな書いてしまうと、本論の内容が薄くなります。
それではなんのためのつなぎパートなのかわかりません。
言いたいことがあってもグッと我慢です。
それよりも自分が次の本論のためにとっておいた内容を示唆する程度にとどめておいた方がいいです。
どうしても書きすぎてしまう人はメモをとってください。
大きな丸で囲めるような内容のものはこのパートには書かないこと。
本当の売り物は、もう少し先にとっておきましょう。
そういう戦略も小論文には必要なのです。
知っていること、経験したことを次々と書いてしまったのでは高い評価を得ることはできません。
初心者にとって小論文が難しいという理由はここにあるのです。
次回はいよいよ本論です。
この部分が1番の眼目になります。
続けてお読みくださいね。
最後までおつきあいいただき、ありがとうございました。