【Yes・No】人間は科学技術をコントロールすることができるのか

学び

科学技術の制御

みなさん、こんにちは。

元都立高校国語科教師、すい喬です。

今回は2つの相反する立場から挑むタイプの難問を解説します。

YesとNoの視点からその理由をまとめろというのです。

課題は以下の通りです。

①「人間は科学技術をコントロールできない」という意見に対して、「そう思う」という立場で、その理由を240字以上300字以内で述べなさい。

② 「人間は科学技術をコントロールできない」という意見に対して、「そう思わない」という立場で、その理由を240字以上300字以内で述べなさい、というものです。

典型的な小論文の問題ですね。

同じテーマを対立する立場からそれぞれ書くという練習は、飛躍的に筆力を挙げる効果があります。

もちろん、大変に難しいのは言うまでもありません。

特筆すべきなのは制限字数です。

240~300字というのは原稿用紙1枚の50~75%に過ぎません。

やり始めればわかりますが、非常に短いのです。

その中に自分の主張を入れながら、文章をまとめるのは容易ではありません。

キーワードを1つか2つ入れたら、それで終わりでしょう。

geralt / Pixabay

実際、どのように取り組んだらいいのか。

最初にテーマの中に含まれる重要なポイントを簡単にピックアップする必要があります。

大切な表現や、キーワードを脳裡に浮かべなければいけません。

課題文が全くない問題の場合は、ある程度の知識がないと、どこから文章を書き始めればいいのか、全く見当もつかないということになります。

あなたはどちらの立場からが書きやすいですか。

なぜそう考えましたか。

そこにこの問題のヒントが含まれています。

最初は素直に自分の心にきいてみることです。

普遍的なテーマ

科学技術と人類の発展というテーマは普遍的なものです。

いつ出題されてもおかしくはありません。

科学技術がなければ、人類の現在はありませんでした。

それは誰も否定できない事実です。

しかし今日、科学が発達しすぎ、負の影響が多いことも明らかです。

最初に思い浮かぶイメージは何でしょうか。

この問題が出されたのは、東日本大震災の数年後でした。

2011年に起こった惨事は、科学の進歩を肯定していた人たちの気持ちを覆しました。

大いなる疑念を持つきっかけになったのです。

それまでは案外楽観的だった人たちも、急に不安になったという人が増えました。

あの事故から10年以上が過ぎ、いまだに解決のつかない問題も山積しています。

原子炉の解体までの道筋が不明確であることも、その不安のもとになっていると思われます

終わりが見えないのです。

最も安上がりだといっていた原発が、今や最大の重荷になっています。

海洋への汚染水投棄なども、同時に反対への糸口になっているのです。

さらにロシアによるウクライナ核施設への攻撃などを知り、今後の核施設増設についても否定的な考えを持つ人が増えました。

しかし化石燃料が枯渇化しつつあります。

同時に二酸化炭素の排出も抑えなければなりません。

政府は、新しい原発の可能性について言及し始めています。

地球環境の温暖化は喫緊の重いテーマです。

地球を覆う、二酸化炭素の厚い層が人々の生活に大きな影響を与えつつあるのです。

YesとNoの論点

この複雑な問題に対して、YesとNoの立場から論点を深めていくのです。

SDGsが声高に叫ばれている時代です。

普通に考えれば、否定的な側面が多く見えてくるのは当然です。

しかしそれを乗り越えるのもまた科学技術なのだという論点からまとめていけば、不可能ではないでしょう。

あなたにそれができますか。

1つ例をあげてみましょう。

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人間は科学技術をコントロールできる。

その根拠は福島の原発事故だ。

人間がテクノロジーを制御できなかった結果、起こった惨事である。

しかしその後の対応はどうであっただろうか。

積極的に節電を行い、火力、水力などを中心に他の再生可能エネルギーを最大限利用した。

それによって原発の稼働をおさえたのである。

失敗を生かし、上手に対応しきる力量を持っているのも、事故を起こしたのと同じ人間なのだ。

テクノロジーを開発し続けてきた人類は、負の遺産を解決するための方法論を同時に手にすることができる。

人間への信頼なくして、未来という文字を掲げることはできない。

痛い思いをしながらも、知識と技術を十分に獲得してやり抜けるはずである。

そのためには、文明全体への視野を持つ科学者がもっと必要だ。

コントロールは可能だと信じている。

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否定的な部分の方がむしろ易しいかもしれません。

現在ある問題点をいくつかに分けてまとめればいいからです。

制限字数との戦い

それでは字数との戦いをどうすればいいのか。

そこが評価の大きな分かれ目ですね。

科学技術の成果は人類に有益であると判断している間は、あまり問題にはなりません。

特に医療技術の発達などが、人類に与えた影響は比類がないものです。

次々と発見された病原菌に対して、有効な薬が開発されたことも承知の通りです。

この間に人口も大きく増加しました。

人間が増えていった結果として、どうしても食料の確保が必要になります。

そのためには農業生産の増加が喫緊です。

科学技術を使わなければ、大量に質の高い農作物を手にいれることはできなかったでしょう。

機械をうまく使用することにより、人間は自分たちの能力をはるかに超える農地を手にしました。

さらに化学肥料の開発や、品種改良なども行いました。

病気に強い品種がなかったら、今日の人口増をみることはありませんでした。

そのうえ、バイオテクノロジーの発展によって寿命が伸びました。

しかしこの事実が、人類全体に複雑な問題をもたらしているのです。

人口爆発がそれです。

食糧問題は新たなフェーズに突入しています。

同時にネット時代のAI活用も深刻な問題です。

人間の知能を超えるAIの存在も見渡せるところまで来ているのです。

それをコントロールすることが可能なのか。

無人兵器が目標物を自動で探索し、爆撃することも可能になりつつあります。

人間の意志を超えて戦争をしかける時代も、そう遠いことではないのかもしれません。

それでも人類は科学技術をコントロールできると考えられるのか。

この問題がいかに複雑かがわかってもらえたでしょうか。

ヒントはここに多数あげました。

両者の立場にたってまとめてみてください。

書けたら声に出して読んでみましょう。

助詞や接続詞のミスは許されません。

添削をしていただける環境があるなら、その方にお願いをしてみましょう。

今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

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