【小論文・人口増加】イースター島にみる飢餓のかたち【モアイ消滅】

小論文

人口増加

みなさん、こんにちは。

元都立高校国語科教師、すい喬です。

世界の人口は現在どれくらいなのでしょうか。

今後の予測と共に、世界の未来を考えてみましょう。

「世界人口白書2021」によると、世界の総人口は78億7500万人です。

前年から8000万人増加しました。

世界の総人口は毎年増加傾向にあります。

最新の世界人口ランキングの上位10カ国は前年から変動がありません。

現在、人口が1億人を超えている国は14カ国あります。

日本もその中に入ります。

国連が発表した予測によると、世界人口はアフリカやアジアを中心にこのまま増加を続けていく予測です。

世界人口ランキングでいうと、インドは2027年頃、現在1位である中国を抜いてもっとも人口が多い国となる見通しなのです。

ちなみに昨年度の1位は中華人民共和国、14億4420万人。

2位はインド、13億9340万人でした。

インドと中国の人口が逆転するのは時間の問題です。

世界の人口は2030年には80億を突破し、2050年には97億人を超えると予想されています。

しかし地球の農耕地はどれほど耕しても21億ヘクタールが限界なのです。

その土地の広さに対応して生活できる人口は80億人がぎりぎりです。

geralt / Pixabay

現在の人口がこれ以上増えると、人間は生きていくことができません。

SDGsが飢饉と貧困を1番に取り上げる理由はまさにそこにあるのです。

今後、食料生産の革命的な技術革新がない限り、食料不足や資源の不足が必ず起こります。

つまり人間はこれ以上生きられないのです。

悲しいことですが、これが現実です。

そのためにはどうすればいいのか。

その対策はあるのか。

小論文でそこまでの内容をすべて網羅するのはかなり難しいでしょう。

しかしここにあげた基本的な内容はきちんと把握しておかなければいけません。

イースター島の例

あなたはイースター島をご存知ですね。

南米大陸の沖、3800キロのところにあるチリ領の島です。

モアイの島としてよく知られています。

日本の種子島の半分にも満たない小さな島なのです。

この小さな島からは1000体のモアイ像が発見されています。

しかしある時を境として、この巨像は作られなくなってしまいました。

その理由を知ろうと多くの科学者が研究の対象にしたのです。

初期の遺跡から出土した炭化物を調べた結果、ポリネシア人が5世紀にこの島にやってきたことがわかりました。

最初のモアイは島の東側にある石切り場で作られたようです。

10トンもある像をどうやって海岸線まで運んだのでしょうか。

現在のイースター島には森はなく、草原があるだけです。

その秘密はヤシの木にありました。

ヤシの花粉が大量に見つかったのです。

コロの原理

想像するに島民たちはヤシの木を切って、コロのかわりにして運んだのでしょう。

しかし7世紀頃からヤシの森は急速になくなっていったようです。

その原因は何か。

圧倒的な人口の増加です。

土地が肥えて、食料も豊富になった時代、人々はたくさんのモアイを作ったと想像されます。

守護神ですからね。

木を伐り、田畑にしていったところまではよかったのです。

しかし元々は島ですから、表層の土は雨とともに流れ出してしまいます。

木もなくなり、船もつくれません。

漁業も十分に機能しなくなったのです。

やがて飢饉から部族間の争いも始まりました。

モアイを作り、部族を守ってもらうなどということがかなわなくなったのです。

100年、200年の単位でじわじわと森林伐採が進み、それが契機となって島は絶滅の危機に陥ります。

元々の原因は人口の増加でした。

どこからも食料が届かず、結局は消えていく運命になった島民たちは、自分たちの現状をどこまで把握していたのでしょうか。

長期間にわたってゆっくり育まれてきた森林は、人間によって急速に破壊されていったのです。

再生産されることはありませんでした。

モアイを運ぶのにそれほどの人数は必要なかったともいわれています。

島民のほとんどが奴隷として連れ出されたという歴史もあるようです。

感染症の流行によって、19世紀には人口が激減したこともわかっています。

森林伐採と感染症の話をどう思いますか。

まるで現在の地球の姿そのもののような気がしてなりません。

今後に予想される人口増加にどう対応すればいいのか。

食料の調達が困難になることは火を見るよりも明らかです。

どこかでこの連鎖を断ち切らないと、地球の未来はイースター島と同様になる可能性もあります。

未来の構図

この話は中学校2年生で習う国語の教科書に載っています。

内容を読み進むにつれ、今の地球上に起こっている現実そのものを見ているかのようですね。

自分たちの未来が過去にも似たような現実として起こっているのです。

どのようにしたらそれが防げるのか。

これは大変に難しい問題です。

人口問題は喫緊のテーマです。

要因として考えられるのは医療の発達により、死亡率が低下したことです。

さらに発展途上国の出生率が高いことが挙げられます。

途上国では貧しさを解消するため、労働力を確保しようという思惑が先に立ちます

子供は一種の保険なのです。

geralt / Pixabay

しかしそれが結果として貧困と人口増加の悪循環が発生しているのも事実です。

労働の担い手として成長した子供たちを先進国が奪い去ることがあってはなりません。

自給自足の体制をこわしてしまったのではますます貧困が加速していくだけです。

途上国においては、望まない妊娠に対して避妊や中絶などの情報や手段が入手できないといった問題も発生しています。

貧困と飢餓が人口爆発と密接な関係にあることが理解できたでしょうか。

地球をイースター島にしてはなりません。

そのための方策を考えてください。

問題の根は深いです。

それだけに掘り下げた運動を続けていく必要があります。

自分で調べてみてください。

今回も最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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