【年内入試】面接と小論文などで素早く進路が決定する総合型が人気急上昇

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年内入試

みなさん、こんにちは、

元都立高校国語科教師、すい喬です。

昨年あたりから「年内入試」という言葉をよく聞くようになりました。

なんのことかご存知ですか。

わかりやすくいえば、大学入試のパターンのことです。

総合型選抜(旧AO)と学校推薦型選抜を指します。

なぜこの言葉がクローズアップされるようになったのでしょう。

理由はいくつかあります。

最も大きいのは入学の決定時期がはやまったことてす。

ほぼ年内に決定します。

それだけならば以前とあまり変わりはありません。

ポイントはその比率です。

60%に近づきつつあります。

以前は青田刈りと悪口をいわれ、進学先を早く決めたい受験生と、学生数を確保したい大学側の思惑が一致した結果と考えられてきました。

ところが現在、話はそれほど単純ではありません。

今や新年を待たずに合格を決める「年内入試」が主流になったのです。

18歳人口が減り続けています。

かつては浪人という風景がごくあたりまえでした。

1浪を「ひとなみ」と呼び、卒業式の頃には学校にも予備校のパンフレットが用意されていたのです

あれからかなりの年月がたちました。

受験の様相が一変しています。

数字で見てみると

2000年度と2022年度を数字で比べてみましょう。

私立大学の一般選抜(一般入試)は00年が60.1%でした。

ところが22年は41.1%に減っています。

学校推薦型選抜(推薦入試)は37.2%から41.7%に増加。

総合型選抜は1.7%から15.7%に激増しているのです。

国立大学においても2022年度は一般選抜が82.1%で主流ですが、学校推薦型選抜11.7%、総合型選抜も5.6%います。

国私立とも、総合型選抜の伸び率が明らかに拡大しているのがよくわかるはずです。

従来型の試験は国立大学については今でも健在です。

しかしじりじりと受験する生徒の比率は下がっています。

その背景には何があるのでしょうか。

「青田刈り」と言われて一段低く見られていたAO型の選抜に、どのような変化があったのでしょうか。

総合型はとにかく出願時期が早いです。

通常9月から願書の受付が始まり、面接や書類審査を中心に人物重視で評価します。

AOとはアドミッション・オフィスの略です。

1990年代以降に広がり始めたものの、当初は学力不足が問題になりました。

とにかくどこでもいい、早く確実に入れる大学へということで、入学してくる学生には、元々学習への意欲が低かったのです。

geralt / Pixabay

それが増幅されることで、評判も一気に下がり始めました。

その結果として、就職活動も不十分なまま、社会に出ていったのです。

しかしこのままではまずいということで、文部科学省は2021年春入学者向けから「総合型選抜」に改称しました。

小論文やプレゼンテーション、検定試験の結果などで学力を評価するとしたのです。

それを後押ししたのは、大学入学共通テストの開始です。

従来の暗記型入試と違って、自ら考える力を重視するようになりました。

目的意識や学習意欲のある生徒が、志願するようになってきたのです。

受験生からみると、重点的な入試対策ができます。

入試科目に苦手な分野があったとしても、部活や課外活動などの実績をアピールすることでそれをカバーしようという方向に変化しました。

入学後も成績が一般入試で入ってくる生徒よりも高いと言われたことも、高評価につながってきています。

合格発表がはやい

筆記試験中心の一般選抜は通常1~3月にあります。

それに対して推薦型は9~12月に実施され、年内に合否の出ることが多いのです。

特に総合型は10月中旬には合格が決まります。

受験生にとっては、その後の勉強のやり方などにも工夫が可能になるというメリットもあります。

特に勉強したい分野が決まっていれば、そこに特化して学びを深めることも可能になるのです。

一方の推薦型選抜は少し遅いです。

校内選考を経るために、11月頃から出願が始まります。

学業や部活動での成績などが大学の示した条件を満たせば、誰でも出願できるのが公募制です。

一方、大学が定めた高校の生徒のみ出願できる指定校制があります。

どちらも出身高校の校長からの推薦を必要とします。

特に指定校推薦は、よほどのことがない限り、校内での推薦を取れば合格が確約されたもの考えていいのです。

そのあたりの悲喜こもごもはかつて記事にしました。

最後にリンクを貼っておきます。

3年間、真面目にコツコツと勉強してきた生徒にとっては、有利なシステムです。

評定平均値がほぼ指定校推薦のカギといっていいでしょう。

それに対して、総合型にはその足かせがありません。

自分でどこまでアピールできるのかという、個人プレイの要素が強いのです。

ここが同じ推薦入試といっても、全く違います。

面接と小論文

基本的に、推薦入試には一般入試のような学力試験がありません。

従来のセンター試験に比べると、今度始まった大学入学共通テストはかなり内容が違います。

共通テストは基礎的な学力をはかるとはいえ、問題の出し方が全く違うのです。

特に文章をきちんと理解する能力が試されます。

国語だけに限りません。

数学などでも同様です。

思考力を問うという、基本的なコンセプトの上に組み立てられた問題なのです。

特に国立大学を受験する生徒にとっては、2次試験とあわせて、かなりの勉強量になります。

記憶中心ではないからです。

会話文や資料をどう読み取るのかという訓練もしなくてはなりません。

そこで都市部では共通テストを受けずに、私大の総合型推薦をねらう生徒もかなり増えてきました。

この流れが今後どのように変化するのかは、予断を許しません。

受験生は毎年の傾向に敏感です。

来年度入試がどのように変化するのか、じっくりと観察し続けることが大切です。

いずれにしても、推薦入試を受けるには小論文が必要です。

あらかじめ家で書いて出願するケースもあります。

志望理由書も自己アピールのための、重要な手段です。

あわせてその書き方も学んでいきましょう。

早く決めたいといって、推薦入試だけをイメージしていると、うまくいかなくなった時、慌てて一般入試へと舵を切るのは難しいものです。

両者のメリット、デメリットを冷静に見つめることも大切になるでしょう。

今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

大学入試で指定校推薦をゲットするには評定平均値が命
指定校推薦は評定平均値で決まります。シビアな現実です。なんとしても高い点数をとりましょう。0.1でも高ければ、十分に可能性があります。校内推薦がとれれば、合格間違いなし。情報の収集も大切です。
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