【小論文・覚悟の修行】騙されたと思って文章を半年間書き続けなさい

小論文

野望との戦い

みなさん、こんにちは。

元都立高校国語科教師、すい喬です。

今回はどうしたら文章がうまくなるかについて考えます。

一口に文章といっても、その種類は多種多様です。

役人の国会答弁も、新聞の記事も、詩も小説も、全て文章です。

あるいはあなたがこれからチャレンジする小論文もその1つでしょう。

どのジャンルの文を目指すのか。

これは大きな意味を持ちます。

小学校の頃から、たくさん書いてきましたね。

遠足、運動会、音楽会の翌日には必ず鉛筆を持たされました。

教科書を読んだ後にもまとめました。

あの頃は何も考えずに頭に浮かんだことを次々と言葉にしていけたのです。

それが近頃はうまくいきません。

どうしたのか。

邪心が介在しているのです。

こう書けば、他人はどのような反応をするのか。

どうしても気になってしまいます。

高い評価を得たい。

文章力があると思われたい。

いろいろな野望が見え隠れします。

しかし子供の頃はそこまで難しく考えていなかったでしょう。

素直にその時の気持ちを描写したはずです。

大人たちは、その真摯な言葉の1つ1つに感動したのです。

うまく書いてやろうという欲望が、全てマイナスに動き出したのはいつからなのか。

それを知りたいですね。

半年は修行期間

考えたことをすぐ言葉にすればいいと言われても、それが簡単にできるくらいならこんなに苦労はしません。

論理性のある小論文なんて、誰も書いたことはないのです。

どの課題文を読んでも難しいです。

難解な文章は教科書だけで、勘弁してほしいものです。

しかし現実には、相当レベルの高い評論文などの一部が出題されます。

文化や文明についての文を読んだだけでも、もうお手上げなのに、それをどう解釈し、何を付け足せばいいのかを考えろというのです。

こんなに苦しい作業はありません。

読解力をつけることが先決でしょう。

課題文の筆者が何を論じようとしているのか。

それを短時間で読み取るのです。

そこから自分の頭の中に浮かんだ風景を言葉にする作業をします。

この作業を少なくとも半年は続けてください。

非常に苦しいです。

とにかく解釈して書く。

添削してもらう。

この繰り返しをずっと続けてください。

毎回800字を目安にすれば大丈夫です。

原稿用紙2枚をできたら2~3日に1度程度。

どんなにつらくても続けてください。

優れた指導者を見つけて、自分には絶対に気がつかない高所からの指摘を受けることです。
友人ではダメです。

全く想像もつかないレベルからチェックしてもらわないと、うまくなりません。

いつまでたっても同じところをぐるぐると、回っているだけになってしまいます。

長文はNG

その際の約束事はいくつもありません。

主語と述語をワンセットにした文章以外、書かないこと。

つまり短文を積み重ねるのです。

もっといえば、複文を書いてはダメです。

もしそうしたいのなら、接続詞で繋ぎなさい。

昔から言い古されている言葉に「一文一義」があります。

1つのセンテンスは1つの意味ということです。

いくつもの内容を重ねていくと、何を論じようとしているのかわからなくなります。

そんなことを自分はするワケがないと考えていませんか。

しかし誰もが通る道です。

長い添削経験の中で、なおし続けてきました。

それでも生徒はこの類いの文を連発するのです。

理由は簡単です。

文章が長いからなのです。

特に初心者は2行がいいところでしょう。

つまり40字以上になる文は書かないことです。

長い文は複文、重文になりがちです。

関係代名詞、関係副詞などを入れて、その表現を接着剤にするのです。

そうしていくうちに、主語がねじれます。

言葉がきちんと対応しなくなっていくのです。

これをなくす練習に半年かかる生徒もいます。

その関門がクリアできると、随分読みやすい文章になりますね。

形をきれいに

文章は生きています。

文末表現が同じだったり、似たような言葉遣いが並んでいると、それだけでもうNGです。

いくら大好物だからといっても、毎日同じ食材が出たら、イヤですよね。

食べたくない。

それと全く同じ論理です。

とにかく目先を変える。

そして主題に深く突き刺さっていく。

そのためにまず半年は修行だと思ってください。

言葉のリズム感覚を身につけるのです。

それが身体の中に入っていくのに、半年はかかります。

そこからが、内容の勉強です。

焦ってはいけません。

とにかく書いてみることです。

たくさん書くと、自分の欠点や癖がどんどん出てきます。

それを実感してください。

そうでないと、うまくなりません。

味わいのある論理的な文章など夢のまた夢です。

もちろん、その間に本を読むことも大切です。

他者の優れた文のリズムを身体で覚える訓練も大切です。

よく天声人語を写したりする人もいますね。

あの文の間(ま)を体得するのは大変なことです。

しかしやってみる価値はあります。

なんでもいいから、とにかく課題文を読み、過去問をやる。

これ以外に道はありません。

今からやりなさい。

優れた指導者に出会うことです。

あなたの情熱に期待しています。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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