すごい視聴率
みなさん、こんにちは。
ブロガーのすい喬です。
テレビドラマ「半沢直樹」の人気はすごいですね。
2013年に放送された前回に続き今回のシリーズも毎回20%以上の視聴率を叩き出しています。
第8回目は25.6%でした。
前回のシリーズでは瞬間最高視聴率46.7%という数字が残っています。
今の時代に20%を超えるのはすでに神話の世界の話です。
それもどんどん尻上がりによくなっていく。
こんなことはそうそうあるもんじゃありません。
原作は池井戸潤の『オレたちバブル入行組』と『オレたち花のバブル組』です。
しかし今回のシリーズはもう原作から遠く離れ、TBS独自の作品と考えた方がいいんじゃないでしょうか。
もちろん登場人物の性格などは原作に頼っています。
しかし共通なのはキャッチコピーだけ。
「やられたらやり返す、倍返しだ」
あのギラギラした目で顔の筋肉を緊張させ、相手を睨む仕草は、ちょっと他の番組では見られません。
歌舞伎俳優をこれでもかと投入し、まさに「睨み返し」の連発です。
とにかく演技が濃い。
これはもう歌舞伎の世界に近いのかもしれません。
ぼくが池井戸潤の作品を好きな理由は実に単純です。
面白いからです。
知らない世界がたっぷりと書いてある。
『下町ロケット』シリーズも面白かったです。
しかし銀行ネタの方がもっと闇が深いですね。
元々彼自身、銀行員の経験がなければ、絶対にリアリティをもったストーリーを書けなかっただろうと思います。
昨年、池井戸潤のことをブログの記事に書きました。
最後にリンクしておきます。
皆さんに読んでいただきたいですね。
彼の小説は徹底した勧善懲悪型です。
最後は悪が敗れるのです。
だから安心して読んでいられる。
しかしそこへたどりつくまでの道のりはけっして平坦ではありません。
政治の世界の暗闇
今回のシリーズには与党の幹事長が登場します。
実在の人物を髣髴とさせるあたり、ニクイ演出です。
破綻寸前の帝国航空。
これもイメージがすぐに膨らみますね。
なるほど、こんなこともあったのかもしれないとすぐに思いつきます。
登場人物も多彩です。
審査部の曽根崎雄也。
サプライズ人事の目玉、女性議員白井亜希子国土交通大臣。
幹事長、箕部啓治。
中野渡頭取、紀本常務取締役、大和田取締役、金融庁の黒崎。
それぞれの人物の顔が思い浮かぶでしょうか。
目の前に見えるようなら、かなりのフリークですね。
会社という組織は理不尽の塊です。
特に合併した企業の持つ粘るような闇は中にいた人間でなければわかりません。
銀行同士が一緒になるとはいえ、人間の気持ちはそう単純に割り切れるものではないのです。
どうしても元の銀行の文化や人間関係をひきずってしまいます。
ノーサイドといえば、それでなにもかもが白紙に戻るというわけではありません。
そのあたりの人間関係の暗闇を今回もみごとに描き出しています。
進退をかけてまで
東京中央銀行が不利になるはずの債権放棄を、自分の進退をかけてまで成し遂げたい紀本常務。
そこにはある理由があったのです。
彼は再生タスクフォースのリーダー、乃原弁護士に脅されていました。
乃原は、もともと紀本に恨みがあったのです。
2人は幼なじみで、乃原は紀本にいじめられていました。
紀本は銀行員である父親から、同級生の乃原の父の町工場が倒産したことを聞き、それを学校で友達に漏らしたのです。
それを知った乃原は紀本に暴力をふるいました。
おまけに教師が一方的に乃原のせいと決めつけてしまったのです。
その時から乃原の心に紀本への深い恨みが残りました。
このあたりからは今後の展開とからみます。
どうしてもこういう筋書きにしないと、視聴者には得心がいかないんでしょうね。
人間というのはどこまでいっても感情の生き物だとしみじみ思います。
父の会社を潰した銀行。
面白く触れ回った紀本。
強い恨みを抱いた乃原は、紀本の弱味を握り、今度は脅してきたのです。
実は紀本と箕部幹事長には影の繋がりがありました。
政治と金の現実がここにも顔を出します。
そういうことが今もあるよなとつい思わせてしまいますね。
選挙に絡む資金の流れは、全て外からは見えません。
帳簿はあくまでも帳簿にすぎないのです。
悲しい現実です。
東京中央銀行の前身、東京第一銀行がここで意味を持ちます。
合併前にいくつもの不正融資がありました。
その責任をとったのが、当時の副頭取、自殺した牧野だったのです。
彼が自らの命を絶つことで、旧東京第一銀行の闇は長いこと、日の目を見ることはありませんでした。
しかし、過去の資料を見ていた半沢の部下田島が、箕部との間に無担保に近い形で融資されている、不自然な20億円を発見。
ここからストーリーは東京第一銀行時代の暗部にうつります。
案の定、選挙資金でした。
「警察にあって銀行に無いものが時効だ」という半沢の言葉も耳に響きます。
結末は頭取の辞任
合併前の不祥事とはいえ、最高責任者は進退を決めなければなりません。
それが組織の論理です。
金融庁からの業務改善命令も重い判断の材料でした。
このあたりの微妙な決断はある程度最初から予想できたものかもしれません。
頭取が過去のスキャンダルを知っていて、あぶり出させたということでしょう。
合併にはこうしたことが必ずついてまわります。
最後はどうなるのでしょうか。
勧善懲悪とはいえ、返す刀でこちらも身を切られます。
その痛みがなければ、視聴者は納得しないでしょう。
水戸黄門ならば、印籠を出せば全て解決しました。
しかし現代には黄門が持っていたようなスーパーアイテムはありません。
とすれば主人公、半沢直樹はどのような痛みを負うのか。
それもふくめてもう少し番組を見続けたいと思います。
最終回めがけて、マスコミも俄然盛り上がるでしょうね。
というよりその方向へプレゼンを重ねていくものと思われます。
作者を離れて、作品が勝手に成長していくパターンそのものです。
第3弾の可能性も否定できません。
3匹目のどじょうは必ずいると考えるのが普通じゃないでしょうか。
最後までお読みくださりありがとうございました。