この本で勉強すれば合格
みなさん、こんにちは。
小論文添削指導歴20年の元都立高校国語科教師、すい喬です。
今回は今までに使ってきた参考書、問題集の中で1番だと思う本を推薦します。
このサイトも始めてから1年近くになります。
毎日書いていますので、かなりの記事数になりました。
その中で最も多いのが「小論文」関係のものです。
先ほどチェックしたら132もありました。
実に3分の1を超えています。
まさかここまで書けるとは、思ってもみませんでした。
小論文の添削を始めて以来、何枚の答案を読んだのか見当もつきません。
1年間に1000枚以上読んだ年もあります。
その時の記憶が次々と蘇り、注意点もそれと同じように掘り起こされました。
もちろん、その間にもたくさんの参考書や問題集に接してきました。
自分でもかなり問題を解いたのです。
参考書の多くは小論文をやったことのない初心者向けのものです。
現在売れている本は、やさしくかみ砕いて書いてあり、かなり役立つと思われます。
しかしこの入門編タイプの本は、しばらくすると、ほとんどマスターしてしまうレベルなのです。
というのも、基本的な型や書き方を教えてくれるところで終わりだからです。
どうしても次は内容に関わる、より難しい参考書や問題集が必要になります。
入門者用のものでは十分な意味を持たないのです。
実はここからが、本当の勉強だといってもいいでしょう。
今まで何度も書いている通り、最後は課題文の背後にあるキーワードを読み取り、そこからテーマを広げていくという勉強になるのです。
ここで自分の論点を切り拓けなければ、いくら型を覚えても意味はありません。
とにかく時間がかかる
基礎を終えてからの勉強には時間がかかります。
すぐに結果が出ません。
自分で採点できないために、どこに注意をしたらいいのかもよくわからないのです。
論理の整合性を自分できちんと追いかけられるレベルの人はかなり実力があります。
しかしなかなかそこまでは到達しません。
本当は進度にあった参考書や問題集があればなんとか自力でもやれるのです。
しかし残念なことに、それほど多くはありません。
そんな中、今までずっと読み続けてきたのが『新小論文ノート』代々木ゼミナール編です。
これはかなりの分量があります。
1番いいのは、代ゼミの現役の講師10人以上が解説を分担して書いているということです。
それぞれの問題は、中級から上級のレベルです。
問題を読んですぐに書けるようなものはありません。
それだけに実力がつきます。
テーマごとにその年度に実施された入試問題をそのまま所収しています。
ちなみに『新小論文ノート2020』の目次は以下の通りです。
第一章 小論文の書き方
第二章 小論文誌上実戦講義
第三章 入試小論文頻出問題演習
●19年度小論文入試問題の分析
●小論文入門
●人文科学系テーマ
教育
人間・文化
●社会科学系テーマ
問題発見
現代の諸問題
人間と社会
●自然科学系テーマ
科学・技術
自然・環境
●医学系テーマ
医療・看護
●英文型問題
●19年度入試小論文出題内容一覧
500ページにわたるかなり重みのある本です。
毎年7月刊行
現役の講師たちのコラムも大変面白いです。
どういう気持ちで授業を受け持っているのか。
小論文の難しさはどこにあるのか。
受験生の気持ちにそって書いてあります。
なるほど、小論文の試験は深いなとしみじみ思う瞬間です。
受験生の誰もが問題と答えを与えられて、それを覚えすぐにまた答案を書くという試験をずっとやってきました。
それを突然、すべて自分で考えなさいと突き放されるワケです。
その時の不安感は一言で形容できないものがあります。
全て自分で問いを考え、答えを発見する。
そのようなタイプの勉強をしたことはほとんどありません。
それをさあ始めなさいと言われているのです。
どこから手をつけたらいいのか。
その手ほどきを自分の体験に照らしながら、各講師が綴ってくれています。
2020年版はすべて売り切れたとか。
毎年出版されますが、刷り部数はそれほど多くはないのかもしれません。
ちなみに2020年版には41題の問題が収録されていました。
そのうち、前年度分の問題が11題あります。
つまり毎年全てを改訂して載せているというのではなく、少しづつ入れ替えて編集しています。
講師のコラムも前年と同じものが載っている時もあります。
しかし何度読んでも、味わいのあるものばかりです。
1番のおすすめは解説がていねいだということです。
これは他の問題集とは比べものになりません。
多くの高校では毎年、図書室や進路指導部などで購入しているようです。
興味のある人は、ちょっと探してみたらいいと思います。
買って損はない本
最初はかなり難しいです。
今どきの本とは違って、資料集の趣さえあります。
すぐに始めようとしても歯がたたない問題もあるでしょう。
驚くほどの文字量です。
なるほど、小論文というのは文字の世界なのだということがあらためて感じられます。
自分の進学したい学部のテーマから勉強していけばいいのではないでしょうか。
国語力がないと、設問をきちんと把握できません。
この大学はここまでの問題を出すのかと思わずうなってしまうシーンもあると思います。
大変に内容が濃くて深い問題が掲載されているのです。
大学で本格的に勉強を続けていくには、この程度の文章を読み、それに対してこういう切り口で臨まなければならないということを解説してくれています。
非常にていねいです。
これを読めば問題の本質がほぼ全てわかります。
あらゆるジャンルにわたってまとめてありますので、この本をやり終えたら、かなりの実力を身につけられるのではないでしょうか。
まもなく7月に2021年版が刊行の予定です。
それ以前のものはあまりないようですが、参考までに下にリンクを貼っておきます。
古書店などでも滅多にみかけません。
コロナ禍の間に家の整理をした人もいるらしく、多くはありませんがメルカリなどにも何冊か出品されています。
探してみてください。
かなり以前のものでも十分役に立つと思います。
昨年の本の価格は本体1435円+税でした。
書店にもあまりありません。
代々木ライブラリーに直接問い合わせた方がいいでしょう。
ただしアマゾンなどのネット通販では取り扱っているようです。
ちなみにぼくはこの本を自宅と職場に1冊づつ置いてます。
わからないテーマの時はじっくりと解説を読みます。
足りない部分は、別のさらに専門的な本で調べていくというワケです。
人文、社会、自然のそれぞれの分野には今日膨大な課題があります。
その全てにわたって自分の考えを持つなどということは到底できません。
しかし日々の思考が自らを鍛えていくという希望を捨ててはいけません。
勉強は日々の積み重ねです。
今日のテーマが少しでも皆さんのご参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。