【小論文の神技】しょぼい切り口で課題文にぶつかると究極のアウト

小論文

切り口が大切

みなさん、こんにちは。

小論文添削歴20年の元高校国語科教師、すい喬です。

今回は文章を書く時の切り口についての話です。

これは一見誰にでもできそうですが、実は大変に難しいのです。

本当のことをいえば、解答を最初に数行読めば、ある程度の実力がわかります。

切り口が見えるからです。

その鮮やかさでいい小論文かどうかがわかるのです。

大切なのはどう書くかというテクニックではありません。

何を書くかというのが1番のポイントなのです

あまりにも小手先のワザに走りすぎると大切なものを見失ってしまいます。

書き方に関する参考書がどうも多すぎるような気がしてなりません。

テクニックより課題に対する本質的な解決法を考える方がずっと必要でしょう

入試小論文の60%は課題文のある問題です。

どんな設問が出ても、鋭い切り口をみつけて論じて欲しいのです。

難しく言えばカッティングエッジがどれくらい切り立っているのかを見たいのです。

rawpixel / Pixabay

そうでなければ、合格答案になりません。

最近は難しい問題が出ます。

時事的なものや喫緊のテーマ。

AI、格差社会、災害、少子高齢化、モラル、ジェンダー、環境。

どれが出ても不思議ではありません。

しかしこれらの内容は十分に準備可能なものともいえます。

とにかく勉強して知識を増やしていけばいいのです。

その反対につかみどころのないものも出題されます。

抽象的な単語を1つあげて、その内側をさぐらせるといったタイプのものです。

作文と小論文の差がよくわかっていない人にとってはかなり苦しい作業です。

抽象を具体に

抽象的な言葉をポツンと出されたらさてどうしますか。

自分自身の体験の中からなんとかテーマにあった内容を探し出して解答していくでしょう。

しかし実際にやってみると、どうしても感想を書いてしまいがちです。

これでは作文なのです。

ダメです。

評価が非常に低くなります。

どんな問題があるのか考えてみましょう。

本当に書きにくくて抽象的な表現があります。

よく出る言葉ですね。

「幸福」「豊かさ」。

人間にとって幸福とは何か。

豊かさとは何か。

こういう曖昧な問題が小論文にはよく出ます。

課題文型ではありません。

テーマだけというタイプです。

なんでも書けそうです。

しかしこれが難しい。

小論文はあくまでも問題解決への道筋を論理で示すものです。

こういうワケのわからない問題の時は、まず自分にとって幸福とか豊かさとはなんだろうと真剣に考えてください。

今の自分が豊かでないとしたらそれはなぜか。

幸福でないとしたらそれはどこからくるのか。

今の状況の中で、幸福や豊かになることを阻んでいるものがあるとすればそれは何か。

じっくりと考えてください。

そこにしかヒントはありません。

テーマを掘り下げる

自分の問題として深堀りします。

なぜ自分は豊かになり得ていないのか。

自分の問題なのか。

社会になにかの原因があるのか。

幸福についても同様です。

どこかにもし原因があるとすれば、それを取り除く手段があるのかどうか。

じっくり考えるという態度が必要です。

解決策といってしまうと大ゲサかもしれません。

しかしそれに類することを書かなければ、ただ豊かさとはこんなものだという一般論を示しただけで終わってしまいます。

それではただの作文です。

豊かであるとは当然物心両面に関わる問題でしょう。

しかし物が身の回りにあっても、心が閉ざされていれば豊かとはいえません

自分の存在が他者に認められ、社会的に認知される。

そして自分でない他者に感謝され、またその人のためになっているという感覚が自分で得られるかどうか。

そのことも大きな意味を持ちます。

geralt / Pixabay

どうしたらその実感をもてるのか。

自分という存在は他者との関わりの中で成長していくことが1番必要であるという点。

他者との関りを切り捨てたところに心の自由はなく、また豊かさもないという論点。

真の自由を得るには「生の充実」が不可欠であり、それは自分を生き生きと実現したことでしか得られないということ

これらを強調してほしいのです。

わかりますか。

自分の問題

ただなんとなくこうしたら豊かでしょうなどという文を書いたのでは高い評価は得られません。

あくまでも自分の問題として切りこんでいくという覚悟が大切なのです。

それがあれば、採点者はこの受験者はいろいろな苦労をし、ここまで頑張ってきた。

これからも自分の力で強く生きていくに違いないと実感します。

そうした学生に入学してもらえれば、大学もより活性化するのです。

いい学生というのは、成績のいい学生だけではありません。

生きる力を持った前向きの人間です。

大学に活力をもたらしてほしい。

そういう学生に入学してもらいたい。

それが偽らざるところです。

逆にいえば、小論文の中でここまで自分のことをじっくり考え、それを実践しようとしているということを示せば、大きなポイントになります。

長い課題文の問題でも、それはかわりありません。

その中の意見に対して、自分ならば、このような切り口から問題を捉えるという態度をみせて欲しいのです。

その勢いがあれば必ず採点者に通じます。

必死でそうした資質を持っている生徒を探しているからです。

しょぼいどこにでもあるような切り口で解答を書いてもダメです。

受け入れられません。

それより少々言葉は拙くても、自分の経験や考えにしたがって一直線に切った文章の方が、ずっといいのです。

読んでいても力を実感します。

文章を読み終えた後、全体像がみえてくるもの。

抽象的なテーマならば、なるべく具体的なキーワードを探してください。

説明をするのならよりわかりやすく書くこと。

それもできたらポイントが1つなのか2つなのかをはっきりさせること。

自分にとってこの問題はどういう意味を持ちうるのかということをはっきりさせてください。

筆者と同じ視点にたって、似たようなところをグルグル廻るのだけはやめましょう。

つねに自分の立ち位置を明確にすること。

いいかげんな態度でどちらの立場にたつのかが不明確なものは最悪です。

どこまでも鋭く、切っ先を鮮やかにすること。

これが合格への近道です。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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