【年内入試】学習意欲のある生徒を確実に獲得したい大学と受験生の思惑

学び

年内入試人気

みなさん、こんにちは。

元都立高校国語科教師、すい喬です。

今年の受験の話題はもっぱらこの年内入試ですね。

合格すれば12月までに進学先が決まります。

かつてのAO型が現在は総合型推薦と名前をかえて、花盛りの様相です。

もう1つは従来の型を受け継いだ学校推薦型選抜です。

こちらも熱烈な人気です。

指定校型の場合、校内で推薦指名されれば、合格がほぽ手中にできます。

面接や小論文などを課す大学もありますが、それはあくまでも儀式のようなものだと考えてください。

ここ数年、私立大学の一般選抜の比率がどんどん下がっているのです。

以前は50%くらいでしたが、今は40%台です。

それに比べて総合型は15%にまで増えました。

少し前は2%ほどだったのです。

譬えは悪いですが「日陰の花」でした。

青田刈りなどと呼ばれ、評価もかなり低かったのです。

私立大学の場合は付属の高校からも合格者を一定数出します。

つまり推薦型と付属からの枠がどんどん広がり、一般枠が狭くなっているということなのです。

そうはいっても私立は他校との併願もかなりあります。

そこで定員の倍近くは合格者を出さねばなりません。

あるいは補欠合格者をきちんと確保しておかなければならないのです。

入試担当者は、毎年難しい舵取りをしています。

年内合格は私立大学だけの話ではありません。

国公立においても、盛んになりつつあります。

国公立の場合

なぜ、こうした流れが増えつつあるのか。

大学合格共通テストに対する不安感があるからです。

新しい教育課程が完成するのは、現在の高校2年生が受験する2025年度入試です。

教科の内容を丹念にチェックしていけば、どのような変化が起こっているのかが、よくわかります。

一言でいえば、「論理重視」につきます。

書く力、表現、発表する力をつけさせたいというのが、基本的な概念なのです。

そのルーツはPISAの試験にあります。

OECDが数年ごとに行っている世界的な学力到達度試験がそれです。

日本人の読解力や論理力が弱いという事実が、数回の試験の結果判明したというのです。

グローバルな国際社会の中で、自分で研究し、発言する力をつけなければ、世界についていけないという怖れを、多くの教育関係者者が指摘しました。

それを受けて、書かせる問題、答えのない問題をその場で考えさせる問題に特化した流れになっています。

今年の共通テストにおいても、かなりそうした分野に比重がかかっていました。

一方、受験する生徒の立場からいえば、どのように勉強すればいいのかわからない。

効率よく成績を上げ、合否を判断する方法が見えないといった不安が寄せられています。

大学側にしても、問題解決能力をもった学生をはやく確実に取りたい。

そのための方法があれば、選考手続きを実施するのにやぶさかではないということになります。

もうひとつの要因は経営です。

国公立大学だからといって、安閑と受験生を待っていれば、やってくるという時代ではなくなりました。

少子化の流れはおさまりません。

安定して受験生を確保できないと、国からの予算執行なども潤滑ではなくなるのです。

幾つかの要因が、年内入試隆盛への道筋をつけたといえます。

今後も増加傾向

この流れはしばらく続くでしょうね。

国立大学協会にはルールがあります。

総合型と学校推薦の総枠は全体の50%以内にとどめるということです。

各大学はこの決まりを守りながら、独自の生徒募集を続けていくに違いありません。

試しにあなたが受験したい国公立大学の、公式サイトをのぞいてみてください。

そこには実にたくさんの総合型選抜の、具体的な内容がまとめられています。

学部ごとに全く違う工夫をしているのがわかります。

あらかじめエントリーをして、授業や実験などを体験し、レポートをまとめ、それを元にプレゼンテーションをします。

その結果が合否を大きく左右するのは間違いありません。

さらに最終面接と小論文を課すなどといった、総合型試験などもあります。

この試験で定員の半分までをとってしまう、などということも可能なワケです。

一回の学科試験で合否を決めるのではなく、対面を繰り返しながら、生徒の資質と将来性を見抜こうとする熱意にあふれた試験ですね。

学生の立場からすれば、一般入試と総合型を併用して、勉強していけばいいのです。

うまくいけば、年内の合格も夢ではありません。

私立の場合も夏休み頃から似たような試験が始まり、9月にはもう本格的な試験が始まります。

合否は10月中に決定するなどというところもあります。

しかしあくまでも推薦で全てが決まるワケではありません。

失敗してしまう場合も当然あるのです。

両方のメリット、デメリットをにらみながら、上手に活用しなくてはいけないでしょう。

最初に失敗したことで、精神的なダメージを受けてしまう場合もあるのです。

信頼できる周囲の人とよく相談しながら、進めることが大切です。

推薦入試と小論文

当然のことながら、推薦入試には小論文がついてまわります。

どんなテーマが出ても、合格点がとれるようになるということが、何よりも大切でしょう。

必要なのは「論理力」です。

採点者はここしかみません。

あなたの主張の正しさを、どう論理的に説明できたのかに尽きます。

言葉でいうのは簡単ですが、説得力をもって説明するのは大変です。

とても難しいです。

なぜか。

経験がほとんどないからです。

作文はたくさん書いてきたでしょう。

なぜ書けたのか。

それはあったことを、事実に基づいて具体的にまとめてきたからです。

小論文では自分の主張を書くのです。

できたらなるべく独創性のあるものが好ましいです。

他の人の答案と、明らかに違っているもの。

独自性があり、筋の通ったものです。

そのための勉強法はあるのでしょうか。

これが最大の難問です。

切なのは過去問を探して、とにかく書いてみることです。

それを信頼できる先生に添削してもらう。

助詞の間違いや漢字のミスだけしか、なおせない先生ではダメです。

論理の構造をきちんと見据えて、正確に判断できる人をさがしてください。

友達では無理です。

高い視点から全体を俯瞰できる能力を持った人に、頼むしかありません。

年内入試への流れは今後もしばらく続きます。

勉強を怠らないでください。

今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

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