論点を絞る
みなさん、こんにちは。
元都立高校国語科教師、すい喬です。
小論文を書く上で1番大切なのはなんでしょうか。
いろいろな型があることは既に書きました。
5つの型を覚えていますね。
「課題文型」「テーマ型」「統計資料型」「英文型」「理科数学型」です。
現在はテーマ型が全体の20%程度です。
具体例を出しましょう。
スポーツの持つ現代的な意義は何か。
あなたの考えを書きなさい。
というものです。
なんとなく書けそうな気がしますね。
しかし実際に答案を読んでみると何を論じたいのかよくわからない文章が実に多いのです。
キーワードは「スポーツ」「現代的な意義」の2本です。
誰もが何らかの形でスポーツには関わってきたはずです。
課題文があればそこにヒントが幾つも散りばめられています。
しかしテーマ型の問題にはそれがありません。
全て自分で構成してつくり上げなければいけません。
きちんとプロットを立てずに始めると、自分がどこに向かっているのか次第にわからなくなってきます。
これが1番怖いパターンです。
キーワードは釣りでいうところの撒き餌に似ています。
どこに受験生が反応するのかをみてとるための材料なのです。
きちんと内容が読み取れる生徒なら、その中の1つに特化して文章が書けます。
しかし実力がない人は、ついこちらの内容にも少し触れ、別の内容にも触れるということをしがちです。
なぜか。
不安だからです。
頭の中が錯綜しています。
主題がきちんと構築できていないのです。
内容の繰り返しはダメ
自分がどこまで内容を深めたのかわからないうちに、別のテーマに移っていくことになってしまいます。
これが最もダメなパターンの答案ですね。
評価が一気に落ちます。
どうしたらいいのでしょうか。
小論文の字数は基本的に600~800字程度です。
それほど長いものではありません。
トピックスはなるべく1つに絞りましょう。
最初はかなり苦しいです。
他の内容を少しずつでも入れれば制限字数に達するのに、どうしても書ききれないということが起こるかもしれません。
しかし1つのトピックスをキープしてください。
ここでの例題に即して考えていきましょう。
スポーツの意義について書く時、最初にその内容を分析します。
単純にスポーツといっても学校スポーツ、社会スポーツなどに分かれます。
社会スポーツの中も生涯スポーツ、地域スポーツなどがあります。
さらに障害者スポーツというジャンルもあるのです。
教育的な役割を前面に出して、精神力や団結力と健康な身体に特化するという内容も可能です。
生涯スポーツは健康増進が最大の目的です。
地域スポーツはコミュニティの中核としての役割を持っているという切り口も可能です。
たった1行のテーマにもかなりの内容が凝縮されているのです。
そこから何を引き出すのか。
これが最大のポイントです。
書きやすい切り口から
大きい区分けとして、学校体育と社会体育のどちらに力点をおけばいいのかを考えてください。
学校体育なら、体罰の問題などにもぶつかります。
大きな意味を持つテーマです。
指導者の資質と指導力の問題もあります。
書き出す時の問題点はあなたが自然に入っていけるテーマを選ぶ方がいいです。
もちろんテーマの内容から逸脱したのではNGです。
スポーツの教育的な役割をメインにするのなら、そこだけを突いてください。
生涯スポーツと地域スポーツをメインにする時は、学校体育についての意識をすべて抜くことです。
大きな地図を用意し、そこに自分の描ける世界を嵌め込んでいくのです。
あちこちに内容が飛んではいけません。
なるべく1つのトピックスに絞って最後まで書き上げてください。
そうすることで文章がまとまりを持ちます。
慣れない頃は特にあちこちに内容が飛ぶ文章を書きがちです。
それだけは絶対に避けること。
苦しくなると、自分の経験に逃げがちです。
クラブ活動で感じたこともあるでしょう。
だからといって思い出をいくら書いても無意味です。
そこから何を引き出すのか。
それが実力の見せどころなのです。
小論文にはつねに社会との関係が必要です。
1点だけに集中して深堀りすることが大切です。
スポーツの持つ意義について書くとしたら、そこに意識を集中し続けていれば、それほどの失敗はしないと考えられます。
難しいことはよくわかります。
しかし努力してみてください。
練習は裏切らない
何度も練習しているうちに、どう書けば刺さる文章になるのかが理解できるようになっていきます。
あなたがアスリートだったとしたら、当然勝敗の問題は大きいでしょう。
勝利を目指すことは、大きな意味を持ちます。
無視することはできません。
しかしあまりに勝ち負けばかりにこだわると、スポーツの持つ醍醐味はどんどん抜けていきます。
勝つためには手段を選ばないといった危険な罠にはまってしまうのです。
当然、裏では金銭が動きます。
莫大な資金が投入されるのです。
かつてはステートアマチュアと呼ばれる選手がたくさんオリンピックに登場しました。
現在でもまったくいないワケではありません。
彼らにスポーツマンシップを説くことが空しくなる瞬間も出てくるでしょう。
そうしたこともスポーツの中には含まれます。
ドーピングや性を偽って競技に参加するなどという荒業も登場してくるのです。
公明正大であることがスポーツの基本であるという論点も十分にまとめるための内容に満ちています。
スポーツは理性をもって身体を鍛え、たくましい精神を磨き上げるという方向にシフトしています。
現代というキーワードを最大限に考慮しなければいけません。
これをはずすと減点は必至です。
その視点から文章をまとめていけば、それほど大きな失点はないと考えられます。
ただし入学試験です。
他の人と比べられて必ず点数化されます。
そういう意味ではつねにユニークな視点を自分のものにしておいてください。
社会とのかかわりにおいても、今日的なテーマであることが必要です。
書く時は焦点を明確にすることです。
広く浅くは絶対に避けなければなりません。
心して勉強して下さいね。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。