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【沈黙する花】美しい花があるだけで花の美しさというものはない【死の予感】

映画監督、西川美和氏のエッセイから考えたことを文章にしました。花はいつも沈黙しています。しかしその存在感は非常に絶大なものです。なぜでしょうか。1つは枯れて腐っていくからです。死の匂いを放つ最強のアイテムなのです。

【風姿花伝・年来稽古条々】芸道の本筋を世阿弥は熟知していた【年々の花】

世阿弥の書いた能楽書『風姿花伝』は豊かな内容に満ちた本です。芸能に携わるものだけでなく、あらゆる学習に対する基本的な態度を論じています。その年齢に応じた稽古の仕方があるという事実を知るだけでも、大きな意味合いを持つのです。

【花は盛りに・徒然草】兼好法師の美意識は人の世の真実に重なる【反語】

『徒然草』は不思議な随筆です。普段、何気なく見過ごしていることにあらためて気づかされることが多いのです。何が本当に美しいのかということなど、考えてもいない時、ふっと兼好法師の言葉が浮かんできます。そこに大きな発見があるのです。
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【劇場型国家・日本】サーカスとパンは必須の神【祭りの後の虚しさ】

劇場型国家を運営するには、つねにサーカスとパンが必要です。国民を大きな祭りへ招待し、酔ってもらう必要があるのです。食料ががなければ基本的に国家は破綻してしまいます。両者が揃ってはじめて国民は納得するのです。しかし祭りは必ず終わります。

【桃花源記・陶淵明】ユートピアは桃の花咲く密かな山奥にあった

陶淵明作『桃花源記』は大変美しい作品です。不思議な味わいに満ちています。桃の林の中を突き抜けていくと、そこには全く見たことのない光景が繰り広げられていました。まさにユートピアそのものだったのです。作者は何を言おうとしたのでしょうか。