【古典文法が苦手】古文の勉強を見える化して合格へ導く3つの方法

学び

嫌いだから覚えられない

みなさん、こんにちは。

元都立高校国語科教師、すい喬です。

今回は古文の勉強法についての話をさせてください。

なんでそんなイヤなものをピックアップしてくるのか。

すぐに大きな声が聞こえてきそうです。

得意な人は手を挙げてといえば、教室中がシーンとしちゃいます。

ゲジゲジといい勝負かも。

それともゴキブリですかね。

なんでこんなものがあるのかと悩んでいる人もいるでしょう。

ぼくは毎年古文を教えました。

途中まで数学をやり、その後学部をかえてフランス文学を勉強しました。

つまりちゃんと国文学の授業を受けたワケではないのです。

勿論少しはやりましたよ。

しかし大学で文法を本格的に学ぶことなどはありませんでした。

どうしてもという人は国語学などの講義をとって、かなり専門的に学ばなければなりません。

じっくりと勉強した覚えがないまま、教員になりました。

いわゆるデモシカ教師でした。

自分の高校時代を思い出すと古文の文法が一番苦手でしたね。

助動詞なんて、知らなくてもなんとかなったのです。

試験は全て丸暗記。

入試の時も正確に覚えた記憶がありません。

しかし教員試験を受ける時は仕方がなく動詞の活用から勉強し直しました。

紙に書いて1つずつ覚えたものです。

こんなことやって何になるのか。

英語の文法の方がまだ役に立つと感じました。

古典の文法を知らないと、どんなデメリットがあるのか。

そんなこと考えたこともなかったです。

最後まで本能でなんとかなると信じてました。

教壇に立って

実際の授業ではどうだったのでしょうか。

ほとんど困ることはありませんでした。

1年生の最初に動詞、形容詞、形容動詞の活用をやります。

ここが山でした。

動詞は活用が9種類あります。

口語とはちょっとレベルが違います。

4段、上1段、上2段、下1段、下2段、カ変、サ変、ラ変、ナ変。

すぐに動詞の活用形が言えますか。

Photo by Dick Thomas Johnson

覚えなくていいのは4段、上2段、下2段の3パターンだけ。

見分けられればいいのです。

あとは全部暗記です。

これを未然、連用、終始、連体、已然、命令の順に繰り返すのです。

ほとんどお経みたいなもんです。

5月の中間テストの頃、よく電車に乗っているとピカピカの1年生がこの一覧表を眺めている風景に出っくわします。

いいなと思いながら、見てました。

もちろん本人は必死なのです。

きっと試験に出るのでしょう。

しかし実際の場面では、あまりこれだけを使うことはありません。

むしろ助動詞の役割を判断するために活用形を識別する方が大切です。

そちらの方がずっと意味があるのです。

動詞の活用はそのための第1歩というところでしょうか。

入試には何が出るのか

ポイントは助動詞です。

なにしろ覚えにくい。

入試は助動詞が命だといっても過言ではありません。

助動詞の意味の取り方1つで、現代語訳が全く違ってしまうからなんです。

特に入試ではキーワードになる部分と助動詞が絡んでいるケースが多いです。

実際の授業で助動詞の意味などという細かいことまで、要求されることは滅多にありません。

簡単な動詞の活用と現代語訳だけしておけば、それで十分でした。

大学を受験する生徒が多くない学校ならばやらなくてもいいくらいです。

生徒は口語訳を覚えてくるのが実態なのです。

その場できちんと内容を読み取り、助動詞を判断しなくてはならないのはかなりレベルの高い学校だけです。

公立は転勤がありますからね。

ぼくもそういう学校に勤め始めてからは本気で予習をしました。

何を質問されるかわかりませんしね。

だいたい、高校の古文は細かすぎます。

あれでは誰でも古文嫌いになってしまうのではないでしょうか。

重箱の隅をつつくように、理解できそうもない文法を次々と覚えさせていくのです。

全くひどい話です。

よほどマニアックな生徒でなければ、記憶しようなどという気にはならないでしょう。

しかしそれを教えていれば、とりあえず教員も安心していられるのです。

入試にはそういった傾向のものばかりが出ます。

それもよく間違える難しいポイントをついてくるのです。

教師はますます細かいことばかり教え、本当の古文の持つ醍醐味からははずれていきます

こころの葛藤を知るための『源氏物語』も敬語のオンパレードに負けて、もっぱら敬語学習の場となってしまうわけです。

これでは面白いはずもありません。

口語訳でもいいから、まず全体像をつかむところから始めるのも悪くないのです。

とにかく文学の香気をそのまま味わってほしかったですね。

文法好きの生徒

『徒然草』も抹香臭い内容のものばかりではありません。

700年も読み継がれているだけに、人間の生きる知恵が横たわっています。

そうした意味で、文法だけの古文からははやく抜けだしたいものです。

本当の勉強は受験が終わってからということになってしまうのでしょうか。

残念ですが、それも一つの現実でしょう。

しかし授業の中でも是非、古典の持つ味わいを鑑賞してほしいのです。

文法ばかり教えていて矛盾しているようにも聞こえるかもしれません。

本当のことを言えば、ぼくを鍛えてくれたのは文法好きの生徒です。

毎日面倒な質問をされました。

そのたびに1つずつ覚えていったようなものです。

何が大切なのでしょうか。

同じ表記で意味が全く違う助動詞です。

推定と推量は微妙に違います。

終止形につく「なり」は推定伝聞、連体形につく「なり」は断定です。

男もすなる日記といふものを女もしてみむとてするなり。

土佐日記の冒頭ですね。

Wokandapix / Pixabay

「すなる」はサ変「す」の終止形に「なり」の連体形「なる」がくっついています。

後ろに「日記」という名詞があるので連体形に変わったのです。

訳は「するとかいう」という意味の伝聞推定です。

「するなり」はサ変「す」の連体形に「なり」がくっついています。

連体形につく「なり」は断定の助動詞です。

こういう風に1つ1つ覚えていくのです。

1番難しいのは「に」の識別です。

これができれば、ほとんどの文法はわかったことになります。

残りは敬語です。

敬語は面倒臭いです。

特に尊敬と謙譲の見分け方は厄介です。

誰から誰へ。

これがポイントです。

たまふ」も4段と下2段があります。

意味が全く違ってきます。

4段は尊敬、下2段は謙譲です。

活用形で見破ります。

面倒なのは2方向への敬語です。

『源氏物語』にはたくさん出てきますね。

最後に古文頻出単語。

300語覚えます。

「おどろく」はビックリするではありません。

「目が覚める」の意味です。

この3つの山を越えてください。

今はスマホアプリにいいのがたくさんあります。

特に古文頻出単語には無料で使えるのがいくつもでています。

まず助動詞から勉強しましょう。

毎日眺めて活用の違いで意味がかわるものを重点的に勉強してください。

そこが試験に出ます。

今回も最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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