ミラ中合唱部
みなさん、こんにちは。
元都立高校国語科教師、すい喬です。
音楽はいいですね。
心身ともに疲れた時、心を慰めてくれるのは音楽です。
今までどれほどの勇気をもらってきたことか。
ジャンルは問いません。
その時に聴きたい曲がベストです。
昨年も新しい曲にたくさん出会いました。
今は動画配信もたくさんありますので、次々と違った楽曲に触れることができます。
「ミラ中合唱部」に出会ったのも、その1つです。
このグループの話はサイトの記事にもしました。
たくさんの方に読んでいただいたようです。
ぼく自身も彼らのコンサートに行きました。
どれもオーソドックスな合唱です。
ピアノと6人の歌手が、中学校でよく演奏される3部合唱を中心に披露してくれます。
アコースティックな音の重なりです。
電子的には何の加工もしていません。
それがいいのです。
自分自身もかつてコーラス部に所属していました。
その血がどこかで騒ぐのでしょうね。
美しいメロディと歌詞に、心惹かれます。
最初に何度も聞いた曲が「Cosmos」でした。
最後に半音あがり、大団円を迎えます。
きれいな曲です。
特に歌詞が素晴らしいですね。
けっして難しい内容ではありません。
Cosmos
最初の部分の歌詞をここにあげます。
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夏の草原に 銀河は高く歌う
胸に手をあてて 風を感じる
君の温もりは 宇宙が燃えていた
遠い時代のなごり 君は宇宙
百億年の歴史が
今も身体に流れてる
光の声が天(そら)高くきこえる
君も星だよ みんなみんな
時の流れに 生まれたものなら
ひとり残らず 幸せになれるはず
みんな生命(いのち)を燃やすんだ
星のように 蛍のように
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この曲は1996年に作られました。
1998年、長野県の原村で毎年8月に開かれる「原村星まつり」という天文イベントで披露されたそうです。
「Cosmos」というのは宇宙のことです。
大きな広がりのある詞ですね。
次の部分です。
光の声が天(そら)高くきこえる
君も星だよ みんなみんな
という1番の最後の部分と2番の最初のところです。
時の流れに 生まれたものなら
ひとり残らず 幸せになれるはず
「ひとり残らず幸せ」になるということが、今ほど難しい時代はないのではないでしょうか。
この歌詞を読んでいると絶望的な気持ちになります。
それだけにこの歌が心にしみます。
混声三部合唱
「Cosmos」は音楽ユニット「アクアマリン」に所属するミマスによって作詞作曲されました。
不思議な名前です。
本名ではないのです。
「ミマス」というペンネームは、土星の衛星の名前からつけたそうです。
彼は無類の天文好きなのです。
平塚のプラネタリウムに毎週通って星座を覚えたとか。
そのときプラネタリウムのBGMとして流れていた美しいシンセサイザー音楽に魅かれたのが、音楽に接近した動機だそうです。
「ミマス」の名前は、土星を好きになった高校生の頃から使っているとのこと。
その曲を一躍有名にしたのが、富澤裕氏です。
2000年に混声三部合唱曲として編曲したことで、合唱曲として知られるようになりました。
それもあまり難しい編曲ではなく、3部合唱で、小学生にも歌えるようにしたのです。
リフレインの部分で「君も星だよ みんなみんな」と歌っていると、本当に幸せにならなくてはと心から思います。
同時に幸せになれるはずの人間が戦さをするということの意味を、再び考えこんでしまうのです。
どうして「幸せになれるはずの」人間が、殺戮を繰り返すのか。
この歌を聴いていると、その疑問が何度も耳の奥で鳴り響きます。
地球星歌
彼の代表曲は「Cosmos」の他に「地球星歌~笑顔のために~」があります。
この曲も昨年出会ったスケールの大きな合唱曲でした。
コード進行はごくオーソドックスなものです。
少しも難しいところはありません。
しかしそこで歌われている「宇宙観」は壮大でした。
かつて「瑠璃色の地球」を書いた松本隆氏に繋がる印象を持ちました。
宇宙からみた時の地球は何なのか。
それこそが人間の故郷です。
そこにしか生きられない人間の場所なのだから、もっと大切にしようというメッセージが痛いほど伝わってきます。
歌詞をご紹介します。
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この青空はきっと続いてる
遠い町で誰かが見上げる星空に
あなたの夢はきっと続いてる
遠い国の野原で輝く虹に
あなたの毎日が世界をつくり
愛する想いが地球へと広がる
私は祈る明日のために
まだ見ぬあなたの笑顔のために
(中略)
そう誰にでも愛する人がいる
誰の心にも大切な場所がある
さあその気持ちを無限に広げて
この星を全部ふるさとと言おう
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大きなスケールの歌ですね。
今では小中学校でよく歌われる曲になりました。
ぼくが好きなのは「あなたの毎日が世界をつくる」という世界観です。
言われてみれば、確かにその通りです。
しかし忘れてしまっています。
さらに「さあその気持ちを無限に広げて、この星を全部ふるさとと言おう」と歌われるともう反論の余地はありません。
これは「大地讃頌」にも通じるスケールです。
時間と空間のスケールが大きないい曲です。
あなたがもし聞いたことがなかったなら、お勧めします。
このサイトにも「ミラ中合唱部」のリンクを貼っておきましょう。
今回も最後までお付き合いいただきありがとうございました。