少子化・未婚・晩婚化
みなさん、こんにちは。
元都立高校国語科教師、すい喬です。
今回は少子化の問題を取り上げます。
原因はほぼ解明されています。
過去30年にわたって女性の未婚率が上昇しているのです。
現在では男女のほぼ半数が未婚です。
近年の平均的な初婚年齢は30歳前後になりました。
少子化による人口の減少を少しでも防ぐことが、国家にとっても喫緊のテーマです。
問題は4つのグラフを読み取り、その課題と対策を述べなさいというものでした。
ちなみにどのようなグラフが示されているのか。
図1は「出生数及び合計特殊出生率の推移」です。
ちなみに合計特殊出生率というのは、女性の年齢別出生率を15~49歳にわたって合計した数値です。
1人の女性が生涯に産む子供の数を意味します。
図2は「50年後の日本の64歳までの推計人口」。
図3は「性別未婚率の年次推移」。
図4は「平均初婚年齢の年次推移」です。
この4つの図を詳細に読み取れば、何が最も問題なのかは、自ずと明らかになります。
特に出生率は1947年、第1次ベビーブームの頃は4.32でした。
ところが1955年頃になると、2.0前後で推移し、第2次ベビーブーム期の1971年には2.16まで回復しました。
しかし2005年には過去最低の1.26を記録。
2006年以降は緩やかな上昇傾向にあったものの、2016年以降は再び低下し、2019年は1.36となっています。
経済に負の影響
人口の減少は日本経済に負の影響を及ぼします。
なんとかして克服しなければならない課題なのです。
なぜ少子化による人口減少が起こるのでしょうか
現代日本における未婚化、晩婚化の流れはとどまる気配がありません。
特に出産適齢期を迎えていても結婚しない人々が著しく増加したのです。
ここまで未婚化、晩婚化の傾向が進むには当然時代の変化があります。
結婚が個人の自由の問題であるという認識が広がりました。
結婚することのメリットが薄れているという背景が、そこにはあるかもしれません。
その1番の原因が女性の高学歴化です。
就業化の進展によって、無理に結婚するという考え方が急速に薄れました。
家庭に入らなくても経済的に自立していくことが可能になったのです。
しかし社会的にはキャリアの形成だけに重点を置かず、結婚して子供に恵まれた人生を送る方がいいという考え方も根強くあります。
そのためにはジェンダーバイアスに真正面から向き合う必要もあるでしょう。
親の世代の考え方に変化を促さなくてはなりません。
この問題には問1と問2があります。
問1は図1、2から読み取れることを120字で述べよというものです。
さらに問2では図3、4から読み取れることを120字でのまとめるというものです。
つまりここでそれぞれの内容をきちんと読み込ませてから、次の段階に入るという設問なのです。
図2では2055年の生産年齢人口が現在の半分になります。
図3では2割程度だった未婚の女性が、1975年以降上昇の一途をたどっています。
2005年では約6割に達しました。
男性は7割です。
図4は2007年に30歳が初婚年齢の平均値なのです。
20代後半においては未婚率の上昇が特に女性において著しいのです。
高い出産年齢
初婚年齢が高くなれば、当然出産年齢も上昇します。
人口増加のカギは第3子のにあると言われています。
つまり親の数を上回る2.08が人口を増やしていく基準になるのです。
しかし初婚年齢が上昇すれば、それも期待しずらくなります。
何が最もネックになるのか。
1番大きな問題点は経済です。
結婚年齢の上昇によって人生の3大支出といわれる「教育資金」「住宅資金」「老後資金」を準備する時期が重なります。
資産形成が十分にできなくなる可能性があるのです。
そこまでのリスクを抱えて結婚し、子供を育てなくてはいけないのか。
誰もが考えこんでしまうでしょう。
子供1人を大学まで卒業させるにはいくらかかるのかといった記事がよくあります。
生涯賃金の中で、相当な部分を占めるのは間違いありません。
もう1つの理由が女性の高学歴化です。
女性が大学を出て社会に進出する年齢が相対的に上がってしまいました。
当然それにつれて結婚・出産のタイミングが後ろにずれることになります。
晩婚化や未婚化に向かっているのは間違いないでしょう。
その理由は何か。
以前より、男女の格差がなくなりつつあります。
かつての日本では、「男性は外で働き女性は結婚をして家庭に入る」という考え方が圧倒的でした。
今では総合職につく女性の数もかなり増えています。
「男女雇用機会均等法」が制定された意味は大きいといえます。
もちろん、ジェンダーによる差別がないワケではありません。
しかしその差は以前とはかなり違ってきたというのも事実なのです。
という法律ができ、今では女性が働きやすい環境が整っています。
エネルギーの方向性と対策
新しい考え方がだんだん広まるにつれ、自分の力を社会の中で試したいと考える女性が増えるのはあたりまえのことです。
結婚をして子育てをするよりも、もっと働きたいという意識を持った女性が増えたことが原因の1つとして考えられます。
多くの女性は結婚と恋愛をきちんと区別しています。
経済的に将来にわたって安定した生活ができるのかどうか。
結婚相手には厳しいチェックも入ることでしょう。
結婚するよりも独身生活の方が良いと感じる人も、たくさんいます。
社会進出が進めば、情報も入ります。
経済的な自立を手に入れることも可能になるのです。
無理をして苦労を重ねるより、自分の好きなことに時間を費やしたいと考える人がいても当然です。
なぜ子供を産まないのかということも日本の社会環境から想像すれば可能かもしれません。
現代という難しい時代の中で、本当に子育てが可能なのか。
コミュニティが自分の周囲に築けない環境の中で、不安が増殖してしまいます。
教育のあり方や格差社会の現状などをみると、不安が先にたってしまうこともあるでしょう。
結婚した人の3組に1組が離婚するといわれています。
そうした不安も全くないワケではありません。
再婚の形として子供をもった女性と再婚する男性の数はそれほど増えてはいません。
離婚した女性に対する先入観や、女性に子どもがいる場合そのことが影響している可能性も考えられます。
問題は山積していますが、解決への糸口を探らなければ小論文を書く意味がないのです。
そこを徹底的に採点者はみます。
晩産化への対策として、1番大切なのは「不妊の人への治療支援事業」です。
不妊治療に対する補助金をさらに増やす。
さらに自治体による婚活支援事業をさらにきめ細かく実施することも大切です。
大切なのは晩婚化・未婚化を原因とする少子高齢化は社会全体の課題であるという広報活動を今以上に積極的に進めることです。
保育園、幼稚園、さらに時間外保育などへの補助金を増やさなければ、優秀な人材を確保できません。
現在のような安い賃金では、人の目が十分に向かないでしょう。
確かに予算のかかることばかりです。
しかしそこにしか、国の未来はないといっても過言ではありません。
あなたなら、何から始めますか。
この機会に真剣に考えてみてください。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。