結論を最初に
みなさん、こんにちは。
元都立高校国語科教師、すい喬です。
小論文を書くとき、何が1番難しいか、あなたは考えたことがありますか。
これは何度も書いてみれば誰にでもよくわかります。
ズバリ結論です。
自分の考えをどこに終結させるのか。
これが最も厄介なのです。
読者に理解してもらうためには、わかりやすい文章でなくてはなりません。
当然、1つの結論に向かって進むのです。
途中で論旨の組み立てがフラフラしたのでは、それだけでNGです。
必ずここに行き着くという目標に向かわなければなりません。
課題文を読んで自分なりの考えをまとめたとしましょう。
当然、それでいいのかどうか不安もあると思います。
それでもなんとかこの方向でと考えますね。
最近の入試小論文の課題文は難問ばかりです。
世界が複雑になり、どこから解決をしたらいいのかわからないテーマが多いのです。
試みに1つの例をあげてみます。
ジェンダーの問題はどうでしょうか。
最近よく出題されますね。
ジェンダーフリーが大切だという論点は誰でも理解しています。
とてもよく馴染みのある大きなテーマです。
しかし掛け声だけが大きく、現実はなかなか追いつかないという一面もよく指摘されています。
あなたの周囲の状況はどうですか。
実際には男女の格差を感じている人も多いのではありませんか。
内容をシンプルに
同一労働、同一賃金という言葉もよく聞きます。
しかし男女の賃金に差があるのも現実です。
社会にはガラスの天井と呼ばれる多くのバリアがあります。
総論賛成、各論反対の要素も多々あるのです。
だからといって、それをそのまま文章にしたのでは、意味がありません。
ジェンダーフリーはSDGsの中の大きな目標の1つでもあります。
あなたなら、どのように分析し、どういう方向性を見出して結論に導くのか。
実際に書いてみてください。
原稿用紙に向かってみると、実に難しいです。
小論文の制限字数は通常600~1000字程度です。
400字詰め原稿用紙にすると1枚半から2枚半程度しかありません。
段落分けをしながら、自分が考える結論に向かって書き進むのです。
やってみるとわかりますが、そんなにたくさんの内容を書けるワケではありません。
自分の経験にしても、ちょっといい気になっていると、すぐに字数が伸びてしまいます。
つまりあれもこれも書き込むということはできないのです。
としたら、材料を徹底的に絞らなければなりせん。
読者があなたの文章を読んで内容を理解し、納得できるかどうか。
それが最大の眼目です。
字数が限られているのですから、余計なことをあれもこれも書いてはいけません。
つまり内容をギリギリの線までにもっていくことが、最も大切な方法になるのです。
例えばあなたの書きたい結論があるとしますね。
そこへ到達するために内容は必要な情報だけにしましょう。
あれもこれもと積み上げてはいけません。
不必要なことは全て省略します。
結論に向けて一直線に進んでください。
論理を支えるもの
最初に結論が大切だという話をしました。
それを支えるものはなんでしょうか。
一言でいえば「理由」です。
なぜこの結論になるのかというのが小論文の中の核心です。
読者はここを集中的にみます。
ではどういう風に採点者は評価するのか。
体験や経験、見聞とセットにして読むのです。
短い字数でまとめるのは苦しいですが、一般論だけで終わらせてはダメです。
必ず自分の例話が小論文には必要です。
自分にこういうことがあった。
その結果、次のような認識を得た。
こんな失敗からこのことを学んだ。
そのパターンはさまざまでしょう。
採点者は集中的にこの部分を注意して読みます。
どうしてこの経験が、結論に結びつくのか。
その論理の整合性が小論文の命なのです。
もちろん、それほどの時間をかけて読むワケではありません。
としたら、採点者に与える情報を絞り、この経験からこの結論が出ることには無理がないという確信を得てもらうことが大切です。
評価の高い文章は、言いたいことが明確で、そのための材料が揃っているもの。
もちろん、使っている言葉にも無理がなく、論理の破綻が見られない文章です。
結論はつねに理由とセットであることを忘れないでください。
信憑性を高める
文章を書いていて、もっと真実味を増したいときはありませんか。
曖昧な内容が続いてしまうこともよくあるものです。
そういう時の手段は数字です。
1つでも2つでもいいのです。
あなたが覚えている確かな数字を、文章の中に書き込んであげることです。
これが想像以上に効果を発揮します。
どうしても読者のことを考えてサービスをしようとするあまり、余分な情報を重ねてしまいがちなのです。
それを避けるいい方法が数字です。
何年に何人がどのような行動をとったというようなことをサラリと書くのです。
そのために、ポイントになりそうな数字を少しインプットしておいてください。
あとは繰り返しです。
最初に問題提起で文の勢いをつけたら、それを最後の結論でもう1度繰り返す。
字数が少ない場合は注意して、最低限の繰り返しにとどめます。
それだけで、採点者の記憶に残るのです。
人間のキャパシティはそれほどあるワケではありません。
読者があなたの文章を読んでくれる時間は、ほんの僅かなものです。
その短い間に、印象的な話題と数字と繰り返す。
これが勝負どころです。
そのためには、主語があったらすぐに述語がくるといったような短文がいいです。
長い文は頭に入りません。
読んでいるそぱから文章が脳に吸い込まれていくような文章の書き方を練習してください。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。